いやはや驚きました。まさかの週刊SFマガジン創刊。急転直下のウルトラCにもほどがある。
知らない人のために簡単に説明すると、SFマガジンは、1959年12月に創刊された月刊SF専門誌。2014年12月発行の2015年2月号まで、55年にわたり、月刊(+増刊)のペースで合計707冊を発行。月刊のSF専門誌としては、アメリカのAnalog誌(1934年10月~1997年7月まで月刊以上のペースを維持)に次ぐ、世界第2位の長寿記録を保持していた。
そのSFマガジンが隔月刊化されるというのでSFファンのあいだには激震が起こり、悲憤慷慨の声が相次いだ。僕自身、2015年2月号掲載の当欄(大森望の新SF観光局・第43回「どこからなりとも月にひとつの卵」)に、
日本のSF専門誌は、いまや本誌一誌だけなので、そのSFMが隔月刊に移行するというのは、日本から月刊SF誌が消えることを意味する。一九五九年十二月から五十五年の長きにわたって途切れることなく続いてきた月刊の歴史がとうとう終幕。二〇一五年一月には、生まれて初めて、SF雑誌が発行されない月を経験することになる。
……と書いたわけですが、よもやこんなかたちで1月にSF専門誌が発行されることになろうとは。まあ、この原稿と前後してcakesで公開される何本かの記事が(SFマガジンのバナーがついているとはいえ)、はたしてSFマガジンと呼べるのかどうかについては議論が分かれるところ。
SFマガジン編集長の依頼で書かれたSFマガジンの連載記事出張版+αの集まりなんだから、そりゃまあSFマガジンだろうと思う一方(大森はSFマガジンの原稿だと思って書いてます)、たぶん通巻号数はつかないし(SFマガジン708号でも、SFマガジン2015年3月号でもない)、cakesのシステム上、各記事の独立性が高くなる。
たしかに紙の雑誌でも、毎回フォーマットの変わるアメリカの McSweeney's なんか、バラバラの記事や小説がビニール袋に入ってたり箱に入ってたりするので、そういうものだと考えれば、SFマガジンのバナーが付いた記事の集積がSFマガジンなのであると言い張れないこともなさそうだが、書誌的な悪夢になることは想像にかたくないし、塩澤編集長も「ゲリラ的に」出すとツイートしてたので、正規軍(通巻ナンバー)には編入されないと考えるべきだろう。
実際、この原稿の読者も、紙のSFマガジンを買ったことがない人のほうがきっと多いんじゃないですか。
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