川相ジュニアの評価急上昇、秘密は…“桑田塾”
巨人の育成ドラフト2位・川相拓也内野手(24)=桜美林大卒=が、元巨人のエース・桑田真澄氏(46)=スポーツ報知評論家=と昨年12月、合同自主トレを行っていたことが23日、分かった。桑田氏の長男・真樹外野手(BCリーグ・新潟)らとオーストラリア・ケアンズで実施。新人合同自主トレでは無尽蔵のスタミナに評価が急上昇中だが、その裏にはレジェンド投手との猛特訓があったようだ。
今月8日に新人合同自主トレがスタートしてから、育成選手ながら川相の評価が急上昇している。特に身体能力の高さは群を抜いていた。
80メートルを往復するインターバル走、20メートルの往復走を続ける持久力テストで、川相はどちらも他のルーキーを引き離してダントツだった。「年末年始に走り込んできましたので」。のぞかせた自信の根拠は、巨人のレジェンドプレーヤーとの“合体”だった。「(昨年12月)25日から30日まで、桑田さんと練習してきました。本当にありがたかったですし、いい練習をすることができました」
場所は、桑田氏の現役時代の自主トレ場所だったオーストラリア北東部の街・ケアンズ。桜美林大の後輩で、桑田氏の長男・真樹がトレーニングに行くことを知り、参加を志願した。
底冷えの寒さの日本とは対照的に、気温は35度を超えていた。「36度ある日もあって、すごく暑かったです」。猛暑の中で走り込み、プロで戦う体力を作り上げた。桑田氏がノックを打ち、フリー打撃では打撃投手を務めてもらった。通算173勝の大投手から、練習会場の野球場のバックスクリーンへ一発も放った。
「父親譲りの堅実で軽快な守備が光った」。桑田氏は父である川相ヘッドコーチを引き合いに、活躍に太鼓判を押した。実際、合同自主トレでも安定感のあるフィールディングを披露。飛び抜けたフィジカル面に加え、「根性が半端ではない」と球団関係者から声が上がるなど、“桑田効果”で心技体のすべてで順調な一歩を踏み出した。
休日のこの日はジャイアンツ寮などで静養した。「キャンプへ向けて準備をしていきたいです」。春季キャンプは2軍スタートが決まっているが、通算533犠打の世界記録保持者のDNAに“桑田イズム”が注入され、支配下登録に向けて駆け上がる。(中村 大悟)
◆桑田氏とケアンズ 巨人時代からキャンプ前の自主トレを温暖な気候のケアンズで行っていた。右肘手術を受けた直後の96年にも当地で極秘トレを行い、その翌年からは岡島秀樹(現DeNA)、三沢興一(現巨人スコアラー)、趙成ミン(故人)など、桑田に師事する若手投手を伴い、調整を続けた。期間中は自炊生活を過ごし、メニューも桑田投手が考えた体に良いものを存分に取り入れた。
◆川相 拓也(かわい・たくや)1990年11月25日、神奈川県出身。24歳。桐蔭学園高から桜美林大に進学。1年春から首都大学野球リーグ戦に出場し、2部の遊撃手、二塁手でベストナインを3度獲得。卒業後、桜美林大のコーチを務めていたが、現役復帰を目指して昨春をもって退任した。入団テストを経て、昨秋の育成ドラフト2位で巨人入り。174センチ、71キロ。右投両打。