日米同盟という安全保障協力の「線」を、どう面に広げていくか。周辺の安保環境が厳しくなるなか、日本にとって待ったなしの課題になっている。
そんな視点から、日本は英国と外務・防衛担当閣僚級協議(2プラス2)の枠組みを発足させ、初会合をロンドンで開いた。ともに米国の同盟国である日英の協力は、互いの利益になる。
大切なのは結束の美辞麗句をうたい上げることより、目に見える成果を積み重ねることだ。今回の会合を足がかりに、着実に協力を具体化してもらいたい。
有望分野のひとつが、防衛装備品の研究や開発だ。両国はすでに化学防護服の性能評価で協力しているが、新たに空対空ミサイルの共同研究を探ることにした。英側は自衛隊の最新鋭哨戒機「P1」にも関心を示した。
友好国との装備品の共同研究や開発が広がれば、日本の調達コストを引き下げることができる。一方で、日本の装備品やその関連部品、技術が、紛争国などに流れることはあってはならない。日英で厳格な防止策を定めたうえで、取り組んでほしい。
今回の会合では、大災害や海賊、サイバー攻撃への対応をめぐり、協力していくことでも合意した。とりわけサイバー対策では、米欧の豊かな経験から日本が学べることは多い。自衛隊や英国軍、サイバー担当者の接触を増やし、連携を急いでもらいたい。
会合は、「イスラム国」が、拘束した日本人2人の殺害を予告した直後に開かれた。英側は日本への協力を表明し、テロとの戦いで結束していくことを確認した。
日本が2プラス2を開くのは米国、オーストラリア、フランス、ロシアに次いで、英国が5カ国目だ。これらのパイプを生かし、情報収集力の向上につなげる努力も大事だ。それにはまず、相手国が持っていないアジア情報などを日本からも提供できる体制を整え、双方向の協力関係を築いていく努力が欠かせない。