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 国営諫早湾干拓事業(長崎県)の排水門の開門をめぐり、開門してもしなくても国に1日49万円の強制金の支払いをそれぞれ命じた二つの福岡高裁の決定が確定した。最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)が22日付の決定で、国による不服申し立てを退けた。最高裁は開門の是非には触れず、相反する二つの高裁判断をそのまま認めた。

 4人の裁判官全員一致の意見。国は開門してもしなくても強制金の支払い義務が生じる異例の事態になっているが、国は現在、開門していない。このため、昨年6月12日以降、開門を求める漁業者らに1日49万円(その後45万円に減額)の強制金を支払っている。

 小法廷は決定で、「開門することもしないことも、それ自体は国の意思のみで行うことができる」と指摘。「国が相反する義務を負い、それぞれについて強制金の支払いを申し立てられる事態は制度上あり得る。このような事態を解消するための努力が期待される」と述べ、国が自ら紛争を解決するよう求めた。