あなたは、それでもユニクロを買ってしまう

店頭についつい誘導される絶妙な仕掛け

ユニクロの看板商品の一つ「ヒートテック」も極めて整然と並ぶ(写真は2014年秋オープンの吉祥寺店)

中国の下請け工場での過酷な労働環境が騒がれているユニクロ。労働問題では何かと批判されることも多いファーストリテイリングですが、筆者が1月15日配信の「なぜユニクロは批判されても売れ続けるのか」で解説したように、きっとこの週末以降もユニクロの客足が極端に落ち込むことはないだろうと見ています。

世界共通の「接客」手法が必要

ユニクロには商品の強さだけでなく、消費者が店頭に誘導され、「つい買ってしまう」という接客の仕組みが整えられています。それは通常のアパレルでありがちな店舗での「ひと対ひと」による「接客」だけではありません。グローバルブランドとして世界レベルの展開をするためには国境も人種も超えた仕組みが必要です。その課題に対して、ユニクロ本部が実践している「見えない接客」があります。「ステルス接客戦略」とでもいったらいいでしょうか。ポイントは大きく5つです。

① 「単純接触効果」を利用

ユニクロといえば毎週末の新聞折り込みチラシ。WEBチラシとも連動しています。これは1年=52週間にわたり1週たりとも休むことなく、場合によっては年末年始など週2回のペースで続けています。

「ああ、またユニクロか」と一瞥する人も、「そういえばあの商品安くなってないかな?」とくまなく見る人もいるでしょう。ところが重要なポイントはそこではありません。実は「ユニクロのチラシ広告が自宅に届いた」という事実を認識してもらうだけで事足たりているのです。

認知心理学では「単純接触効果(ザイアンスの法則)」という考え方があります。「ひとは何かしらの対象物(ひと、物なんでも)と繰り返し接することで、警戒心が薄れ、好感度が増していく」という法則です。今回の場合の対象物とはまさしくユニクロの新聞折り込みチラシそのものです。

毎週そのチラシ広告に接触することで、ちゃんと買い物の目的のある人はそのまま店舗へ直行してしまいたくなる感情を芽生えさせています。そうではない人も週末の会社帰りや家族とのショッピングでたまたま見かけただけで「そういえば、お買い得品がでていたな」と思い出し「ついでに見てみようか」と、なんとなくでも足を向けさせてしまうような効果を発揮します。

多くのユニクロユーザーは毎週毎週、知らず知らずチラシ広告に触れている間に感情を操作され、店舗へ足を運ぶように誘導されてしまっているのです。

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