スイス国立銀行(中央銀行)が15日、突然、対ユーロ相場の上限を撤廃した。これを受けて、スイスフランが一時急騰するなどの混乱が生じたが、スイス国立銀行が決断した背景や、他の通貨でも同様のことが起こる可能性があるかについて考えてみたい。
スイスフランは、対ユーロで一時40%急騰し、その後は落ち着いたが、市場は大混乱した。これで大きく損を出した投資家も少なくない。
対ユーロの上限撤廃を決断した理由は、22日の欧州中央銀行(ECB)の政策決定会合で量的緩和の採用がほぼ確実視されているからだ。実際、ヨルダン・スイス国立銀行総裁は「国際情勢の変化から持続可能でないと判断した」と語った。
上限を維持するには、マネタリーベース(中央銀行の供給する資金)を増やすとともにユーロ債を購入する必要がある。実際、スイス国立銀行のバランスシートはかなり大きくなっているが、そのうち外債が占める割合は9割程度になっていた。
ECBで量的緩和の動きが出ている中、さらに上限を維持しようとすれば、スイス国立銀行はさらに外債を購入しバランスシートを大きくせざるを得なかった。もし、上限の防衛に失敗すれば、中央銀行の資産が大きく毀損(きそん)するという問題が出てくる。
スイス経済を考えれば、中央銀行の資本問題はたいしたことはない。しかし、目先の資本毀損にスイス国立銀行は日和ってしまった。しかも、やり方が唐突で稚拙であることは否めない。