2015年01月23日 20:21
千葉市が競輪事業の廃止方針を決めたのは、レジャーの多様化でファンの固定化や高齢化が進み、入場者の減少傾向に歯止めが掛からなかったことが背景にある。1974年度に138万9千人を数えた入場者は、昨年度7万8千人とピークの5%にまで落ち込み、収支改善は極めて困難な情勢になっていた。
千葉競輪は開場から昭和40年代まで入場者、車券売上とも、ほぼ右肩上がりに伸び続けた。市財政にも大きく貢献し、これまでに一般会計に繰り出した事業収益は600億円超に上る。しかし、ここ十数年は入場者、車券売上とも下落基調が続き、内部留保や市会計への繰出金も低迷していた。
市は事態を打開しようと2013年度、着順判定などを行っている日本写真判定に事業を包括委託。民間ノウハウ導入による収益力向上や、清掃、警備など個別に委託していた部門も含めて委託することによる経費節減効果に期待した。昨年度は約2億8千万円の黒字を計上したが、車券売上は依然低迷。本年度の車券売上見通しも前年度比約1割減の110億円と、厳しい状況にある。
市の試算では、17年度までは単年度黒字が確保できるが、18年度から赤字が続く見通し。さらに事業継続に必要なバンクや土台の補修などのコストは数億円規模に上る。赤字が出れば税金での穴埋めを余儀なくされることから、事業継続は困難と判断した。
現在の包括委託は15年度末で終了するため、16、17年度の委託事業者が選定できなければ、15年度末での事業廃止もあり得る。ただ、日本写真判定は17年度までの事業継続を前向きに検討しているという。
競輪場の敷地4・3ヘクタールのうち市有地は1・3ヘクタールで、残りの3ヘクタールは国有地。近隣にある選手宿舎「サイクル会館」とともに跡地利用を検討する。