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連載1、2回では、英語もできないノースキルの文系を脱することができるということ。そのための1年間に、英語の留学と、海外でのインターン経験を組み合わせることを書きました。

連載第3回では、英語ということに絞ってもう少し詳しく説明します。「英語もできないノースキルの文系」が目指すべき英語の目標とは?どのあたりにあるのかをお話します。

最初から極端な目標を設定しない

英語のレベルについては、とにかく極端な話になりがちです。英語が喋れるというと、ネイティブの英米人と洒落た会話ができて、マシンガンのようにしゃべる英語のニュースを聞きとれて、映画も字幕なしで楽しめる、といったそんな水準を要求されているように思ってしまいますし、英米で生まれて生活が長い方はそういうレベルを要求してきます。

ハーバードMBAに入ってグローバル企業で米国人と一緒に働き、最後は米国籍が取りたいという人なら、こういう目標があってもいいと思いますが、普通の人には過大な目標です。この過大な目標を提示されて、今の英語力とのギャップに絶望して、そもそも努力する気も起きなくなってしまっているのではないでしょうか。

言ってみれば、ネイティブ並みの英語力は、プロのレーサーが300kmで鈴鹿のサーキットを走るようなもの。こんなレベルの語学力は、そういうプロのレースに参入しない限り必要がありません。

一方で、英語なんてカタコトでいい。あとは度胸と、現場でなんとかできればいいというもう一つの極端な意見の方もいます。実際はこれでは困ります。簡単な意思疎通もできないのでは、仕事以前の問題になってしまいます。自動車の運転でいったら、「俺には運転免許は必要ない。必要なら、運転手をつければいい。タクシーや公共のバスだってなんだって移動手段はある」と意地を張るようなものです。

要するに、みなさんが必要な英語力は、普通自動車免許のようなものなのです。自動車免許の例えがわかりやすと思います。300kmで走る能力は必要ありません。ビビらないでください。60kmで公道を運転できれば良いのです。

かといって、運転手をつければ運転しなくていい、みたいに開き直るのもあれです。自動車免許くらい自分でもって運転できないと、そもそも何もできなくないですか?

普通自動車免許を持っていても何のアピールにもなりませんが、免許がなければスタートラインに立てません。かと言ってF1参戦用のスーパーライセンスを持っていたところで、普通の人が仕事をする上では無用の長物です。

みなさんに必要なのは、普通自動車免許のような「普通」の「中間」の英語スキルです。ネイティブ並の英語は不要ですが、カタコト・日常会話以上が必要です。それが、まずはみなさんの目指すべき英語力になります。

コミュニケーションツールとしての英語

これからのみなさんにとってグローバルというのは、本当にグローバルになります。

ムンバイ、カルカッタ、イスラマバード、ジャカルタ、クアラルンプール、シンガポール、アルゼンチン、ケニア、ドバイ、ホーチミンシティ、成都、重慶、こうした都市がみなさんの活躍の機会の場所になる可能性が強い。そして、英語はとっかかりで、いずれビジネスで活躍するその現地の言葉も学んでいくことになります。

非ネイティブの人と、ビジネス上の共通の言葉として、ベーシックな英語でコミュニケーションできること。これがみなさんの目標になります。

かつては海外=ロンドン、ニューヨークでしたが、現在のみなさんの海外とは、アジアのことです。ロンドン、ニューヨークで働く人はごくごく一部の人だけになります。

となると、難しい言葉や、英国ジョークや、米国のスラングなどは学ぶ必要はありませんし、相手もわかりません。非ネイティブの間での共通語としての英語ですから、ネイティブからみたら少し変でも、それは構わないのです。といっても身振り手振りやブロークンな英語や汚い言葉では、困ります。ビジネスのための英語ですから、ブロークンや汚い英語はダメなのです。

「非ネイティブとコミュニケーションできる実用のビジネス英語」

を目的として、

「普通に、ちゃんと通じる」

というのを目標にしましょう。

TOEICでいうとどのくらい必要か

このラインがどの当たりにあるかは、TOIECでいったら800点前後だと思います(就活時点では700点程度で大丈夫なこともあります)。そして、ビジネスで利用する以上、ある程度の構文力、ボキャブラリーも必要になってきます。また喋れることに重点を置きましたが、喋ることと同時に読み書きができないと困ります。喋れると同等のレベル以上で、英語メールでのやりとりが出来るというレベルを目指しましょう。

このレベルにどのように到達するか、というのは各英語の学校の方がプロですので、細かい話は私はいたしません。英語学校のプロに相談して、みなさんがどうやってそのレベルに達することができるのかの診断やカリキュラムを組んでみてもらってください。

そうすると、意外なことが分かると思います。ほとんどの日本の人は中学・高校・大学と英語の基礎があります。ですから、必要なのは、実用英語として磨き上げる部分だけ。多くの方は「6〜12ヶ月集中して頑張ればそのレベルまで達することができる」というカリキュラムになると思います。

これは自信や希望が生まれることだと思いませんか?頑張ってください。応援しています。

 

連載目次

第一回: 「英語もできないノースキルの文系」は、仕事と英語どちらを先に身につけるべきか?
第二回: 「英語もできないノースキルの文系」から抜け出すための具体的な方法
第三回: 「英語もできないノースキルの文系」が目指すべき英語の目標とは?

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大石 哲之

1975年生まれ。慶応義塾大学卒業後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)。株式会社ジョブウェブの創業を経て、株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、株式会社タグボート監査役、一般社団法人デジタルマネー協会理事。
現在はコンサルタントとして経営の支援や創業などにかかわる一方、海外に移住し、場所・時間・国家に捉われないライフスタイルを実践し、作家・ブロガー活動を通じて情報を発信している。著書に『英語もできないノースキルの文系はこれからどうすべきか』(PHP)『ノマド化する時代』『コンサル一年目が学ぶこと』(ディスカヴァー21)、『3分でわかるロジカルシンキングの基本』(日本実業出版社)、『過去問で鍛える地頭力』(東洋経済新報社)など多数。 Twitter: @tyk97

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