ソフトバンクは23日、国内で携帯電話やインターネット通信などを手がける4つの子会社を4月1日付で合併すると発表した。新会社の社長はソフトバンク副社長の宮内謙氏(65)で、同社社長の孫正義氏(57)は会長に就く。安定して稼げる国内では事業統合で経営基盤を固め、今後は成長が見込める海外を攻める体制にシフトする。
主力の携帯事業を手掛けるソフトバンクモバイルを存続会社とする。「ワイモバイル」ブランドでPHSや携帯を手掛けるワイモバイル(旧イー・アクセス)、高速ネット通信「ヤフー!BB」などのソフトバンクBB、固定電話などのソフトバンクテレコムを吸収合併する。各サービスのブランド名は合併後も維持するが、再編のたびにぶらさげてきた通信子会社は1社に集約される。
4社を合併すると単純合算で売上高は約3兆5千億円、従業員数は約1万7600人(昨年3月末)の会社となる。ワイモバイルが加わることで、携帯電話の契約者数は単純合算で約4700万件(昨年9月末、PHS含む)と、KDDIを抜いて国内第2位になる。
合併後は重複した間接部門の合理化などを進める一方、あらゆるモノをネットにつなぐ「インターネット・オブ・シングス(IoT)」やロボットなど成長分野に経営資源を重点配分し、競争力を高める考え。国内通信事業は営業利益でソフトバンク全体の75%を占める中核事業。だが、孫社長は「今後国内の利益を2倍、3倍と伸ばせる状況にはない」と話しており、今後は伸びる海外市場の開拓を急ぐ。
合併予定の4社のうち3社で社長を兼務する孫氏だが、新会社の社長にはこれまでも国内事業を切り盛りしてきた宮内氏が就く。海外の孫氏、国内の宮内氏という分業体制が一段と明確になる。
海外では、子会社で米携帯3位スプリントが苦戦しており、ネットワークの増強投資やトップ交代、大幅な値下げなどでてこ入れ中だ。最近ではインドなどアジアの新興ネット企業への投資を加速している。米グーグル上級副社長だったニケシュ・アローラ氏を幹部に迎え、二人三脚で世界を飛び回る孫氏。海外での次の成長戦略に注目が集まりそうだ。
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