兵庫県西宮市の今村岳司市長は23日の定例会見で、重要政策の報道に関し、市が「偏向報道」と判断した場合、メディア名と抗議文を広報誌とホームページ上に掲載する、と発表した。「偏向」かどうかは市が判断し、「改善されない場合、今後、その報道機関の取材に応じない」とした。
同市は、都市再生機構(UR)から借り上げた復興住宅の返還期限をめぐる報道で「市の(入居者に対する)支援策に触れず、あたかも市が一方的に追い出しているような放送がされた」として東京のテレビ局に抗議。テレビ局側は「誤解を生じる可能性があった」と謝罪した。今村市長は「市の政策推進に支障が出ることは許されない」としている。
今後、重要施策でテレビ取材を受ける際、広報課の職員が立ち会い、取材状況を録画する方針を示し、「市民への証拠資料を残すため」と説明した。
市は「取材を受けたにもかかわらず、市の言い分が十分に報道されなかった」ケースを「偏向報道」と定義すると説明。取材を受けた担当者や市長らが協議して「偏向」と判断すれば、文書や口頭で抗議した後、ホームページなどで公表する。「報道の自由は最大限に配慮していくが、市民への説明責任も果たす必要がある」としている。(前川茂之)
【報道の公平性 市民が決める】
大石泰彦・青山学院大教授(メディア倫理)の話 報道が公平・公正かどうかはあくまで読者や市民が決めるもの。公的機関自らが判断するのは民主主義に反し、思想統制にもつながる恐れがある。市役所が持つ情報は本来、市民のもので、報道が間違っているなら、事実を示して抗議すれば十分に足りるはず。公的機関には批判的な意見と向き合う義務があり、「偏向」という主観的な言葉を安易に使ってはならない。
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