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 日本人2人を人質に取った過激派組織「イスラム国」の支配地域では、米軍などによる激しい空爆が今も続く。油田地帯への空爆や原油価格の急落で、「イスラム国」の主な収入源とされる原油密売が減っているとみられ、身代金目的の誘拐による資金獲得を強化しているとの指摘もある。

 「これまでに、数千人単位の『イスラム国』の戦闘員を殺害した。司令官の半数も消し去った」

 ケリー米国務長官は22日、ロンドンで開かれた有志連合による閣僚級会合後の会見でこう強調した。米軍による空爆は、「イスラム国」の資金源となっている原油の密売を封じることにも重点が置かれている。ケリー氏は、石油関連施設を多数破壊したと強調し、「道のりは短期間でも容易でもないが、重要な進捗(しんちょく)を得た」と説明した。

 「イスラム国」は、誘拐や遺跡盗掘品の密売、住民からの強奪、課税、支援者からの寄付などで資金を得ているとみられる。中でも大きな比重を占めていると指摘されているのが、原油密売による利益だ。

 国連安全保障理事会から依頼を受けた専門家8人が昨年11月にまとめた報告書によると、「イスラム国」がイラクとシリアで支配する油田の生産量は、推定で1日あたり4万7千バレル。1バレル=18~35ドルで、1日の売上高は84万6千~164万5千ドル(約1億~1億9500万円)になるという。