部活事故:兵庫県に賠償命令 「国際線CA」夢だった女性
毎日新聞 2015年01月22日 22時35分(最終更新 01月22日 23時39分)
テニスの部活動中に熱中症で倒れて重い障害が残ったとして、兵庫県立龍野高校(同県たつの市)の2年生だった女性(24)=兵庫県太子町=と両親が県に約4億7000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決。22日、大阪高裁の森宏司裁判長は女性側の請求を退けた1審・神戸地裁判決を変更し、将来の介護費用や慰謝料など計約2億3000万円の支払いを県に命じた。判決後、女性の両親が大阪市内で記者会見した。父親(52)は「学校は安全な場所であってほしい」と訴えた。
両親によると、女性は長女。スポーツ好きで、小学生の時にバレーボール、中学生時代はソフトテニスに打ち込んだ。明るい性格で責任感が強く、いつも主将を任された。
事故の起きた日は初夏にしては暑く、湿度も高かった。女性はラリーの最中、ふらついて座り込んだ。部員から休憩を勧められても1〜2分休むだけで、顧問が指示した練習を次々にこなしていったという。そしてメニュー最後のランニングで再び倒れ、救急搬送された。
事故前、女性は毎日のように顧問から前日の反省や当日の目標を伝えられていたという。父親は「顧問に言われたことを忠実に守ろうとして、倒れてしまったのだろう。頑張り屋の娘を褒めてあげたい」と語った。
女性は「国際線のキャビンアテンダント」が夢だったという。事故後は食事をのみ込むことも困難になり、常に両親らの介護を受けている。母親(52)は「娘の希望を守ってやれなかった。同じ思いをする人が出ないよう、学校や指導者は最善の努力をしてほしい」と話した。
この日、大阪市内で支援者の集会もあり、両親と女性がそろって参加した。女性は耳は聞こえており、判決言い渡しの時も笑顔を見せたという。支援者から祝福される中、父親は長女に寄り添い、「おめでとう」と声をかけた。
【堀江拓哉】