テニス部の練習中に熱中症で倒れ、重い障害が残ったのは学校側の責任だとして、兵庫県立龍野高校(同県たつの市)に通っていた女性(24)と両親が、県に約4億7千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(森宏司裁判長)は22日、県に約2億3千万円の支払いを命じた。女性側敗訴とした一審・神戸地裁判決を変更した。
判決は、出張のため練習の冒頭しか立ち会わなかった顧問教諭について「部員の体調の変化に応じた指導ができない以上、通常より軽度の練習にとどめるなど、熱中症に陥らないよう指導する義務があった」と判断。「通常より長時間で密度の高いメニューを指示し、水分補給に関して特段の指導もなかった」として過失責任を認めた。
判決によると、女性はテニス部で主将を務めていた2007年5月、練習中に突然倒れ心停止となり救急搬送された。熱中症により重度の心筋障害が生じ、現在も寝たきりの状態が続いている。
昨年1月の一審判決は「心停止の原因が熱中症と認めるだけの証拠はない」としたうえで「仮に熱中症が原因だとしても、女性は自主的に休憩をとることは可能だった」などとして学校側の過失責任を否定していた。
高裁判決後、女性の両親は記者会見し、母親(52)は「同じ思いをする人が二度と出ないようにしてほしい」と求めた。
県教育委員会は「判決内容を検討し、今後の対応を考えたい」とコメントした。
熱中症