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 兵庫県立龍野高校(同県たつの市)のテニス部員だった女性(24)が「学校側が熱中症への注意義務を怠り、部活動中に倒れて重い障害が残った」として、県に約4億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が22日、大阪高裁であった。森宏司裁判長は請求を退けた一審・神戸地裁判決を変更し、県側の責任を認定。計約2億4千万円の支払いを命じた。

 控訴審判決によると、女性(当時高校2年)は2007年5月24日午後3時ごろ、たつの市営のテニスコートで倒れ、一時心停止となった。低酸素脳症による重い意識障害が残り、寝たきりの状態が続いている。

 事故時について森裁判長は「コートは30度前後で、地表はさらに10度前後高かった」「当時は定期試験の最終日で、女性は十分な睡眠がとれていなかった」と指摘。ウイルス性の心筋炎の可能性を踏まえた一審判決の認定を変え、女性は熱中症だったと認めた。

 正午から約30分間練習に立ち会い、出張でコートを離れた顧問の教諭について「キャプテンだった女性が指示された練習メニューをこなそうとすることは想定できた」と判断。軽度な練習にとどめるなどし、危険が生じないように配慮するべきだったとした。そのうえで将来の介護費用として約1億円、逸失利益として約6千万円などとする賠償額を算定した。

 女性の弁護団は「指導者に厳しい注意義務を課した今回の判決は現場への影響も大きい」としている。(太田航)