「従軍慰安婦の強制連行を否定する日本の歴史歪曲(わいきょく)を米国の子どもたちに分かりやすく説明したかった」
韓日関係の確執原因となっている日本の植民地支配や慰安婦強制連行などを描いた童話『アジャニに訪れた平和(Peace Comes to Ajani)』シリーズを昨年末に出版したキース・ケリーさん(56)は米ニュージャージー州ジャージーシティーにあるフェリス高校の教師(英語・特殊教育担当)だ。ケリーさんは韓国を訪れたことがないが、誰よりも韓国を愛する親韓派だ。
「韓国戦争(朝鮮戦争)で出兵した父と、16歳の時から私を指導してくれたテコンドーの師範を通じ、韓国の文化や歴史についていろいろと学んだ。12年前に師範が亡くなった後はその弟さんを『叔父さん』と呼んでいる」
ケリーさんは「師範を通じ、日本の慰安婦に対する蛮行についていろいろ聞いたが、日本政府がしきりに歴史問題を否定しようとするので腹が立った。私はテコンドーを通じて韓国の歴史と文化に触れたが、米国のほとんどの子どもたちは韓国と日本が対立関係にあることすら知らない」とこの本を書いた理由を説明した。
ケリーさんが昨年末に出した『アジャニに訪れた平和』2巻はテコンドー道場に通う黒人少年の主人公「アジャニ」が友達の韓国系少年「サニー」と共に、町で起こった韓国人対日本人の確執を解決していく過程を描いている。主人公が暮らす町に、ある日本人が飲食店を開業しようとしたところ、サニーの父親が強く反対するところから物語が始まる。この日本人の祖父は日本植民地時代の韓国の刑務所で看守を務めていたが、サニーの曽祖父が暮らしていた町の少女がこの看守に連れられて日本に行った後、戦争が終わっても帰国しなかった。サニーの父親は、日本食レストラン店主の祖父がこの少女を慰安婦にしたと思い、店の開業に反対したのだ。ところが、アジャニとサニーが仲裁に乗り出したところ、日本人看守はその少女と恋に落ちて結婚、日本に渡ったことが分かり、レストランを開業した日本人はその孫であることが明らかになるというハッピーエンドで終わる。