メーカーと小売店
みなさん、こんにちは!
B-CHANです。
iPhoneのアプリって、AppleのApp Storeを通じて販売されます。
アプリ開発者はメーカー、App Storeは小売店ですね。
お菓子で例えると、グリコや森永はメーカーです。お菓子を作っています。
そしてそれを売るセブン-イレブンやイオンは小売店です。
もし小売店が無ければ、メーカーは自分で店舗を持って商品を売る必要があります。
グリコはグリコ店、森永は森永店を作る必要があります。
そうなるとメーカーにとっては大変な負担ですし、効率も悪いですよね。
例えばグリコのお菓子と森永のお菓子の両方が欲しい消費者は、両方の店舗を訪れる必要があります。
そんな仕組みが成功する可能性はとても低いです。
だから小売店というのが存在します。メーカーにとっても消費者にとっても有益な存在です。
アプリでも同じで、もしApp Storeが無ければ、アプリ開発者は自分で販売する必要があります。つまりアプリ開発の負担以外に販売の負担ものしかかるわけです。
これではアプリ開発に専念できません。
消費者もあちこちのサイトを訪問してアプリを手に入れる必要があり不便です。
そこでAppleは小売店であるApp Storeを作ったわけです。
アプリ開発者はApp Storeを利用する代わりに、アプリの料金の30%をAppleに支払います。
価格が100円のアプリなら、ユーザーは100円を支払い、そのうち70円はアプリ開発者に、30円はAppleに行くわけです。
中にはメーカーが自分で小売をするケースもあります。
たぶん一番有名なのはユニクロ店を運営するファーストリテイリングですね。
こういうのをSPAと言います。
紀伊國屋書店のアプリ"Kinoppy"のiPhone版の特殊性
メーカーと小売が分離している考え方は電子書籍でも同じです。
出版社が自ら電子書籍店を持っているケースは少なく、ほとんどは小売事業者が電子書籍販売サイトを持っています。
Amazon、Apple、楽天kobo、紀伊國屋書店などが有名です。
例えばAppleならiBooks Storeを持っていて、そこで各出版社や作家が作品を販売します。
Appleには書籍の販売価格の30%が支払われます。
実は、AppleとiPhoneに関しては、さらに別のルールがあり、各アプリの中で販売した書籍に関してもAppleに30%を支払う必要があります。
例えばAmazonがiPhone用のKindleアプリの中で電子書籍を販売したとしたら、AmazonはAppleに30%を支払わなければなりません。
それだとAmazonにとってはビジネスが成立しないので、Kindleアプリはそのような仕組みになっていません。
つまり、Kindleアプリ内では電子書籍を買うことはできません。Kindleアプリはあくまでも読書専用のアプリです。
iPhoneユーザーがAmazonから電子書籍を買うにはiPhoneでウェブブラウザを起動し、そこからAmazonのサイトを開く必要があります。あくまでもAmazonのサイトで買う必要があるんですね。
実際、Amazon以外も多くの事業者がこの方式をとっています。Appleに30%を支払いたくないからです。当然ですね。
多少不便ですが、仕方が無いです。
そんな中で珍しいのが紀伊國屋書店。
紀伊國屋書店はご存知のとおり書籍の小売店です。
そしてiPhone用のアプリを出しています。
このKinoppyというアプリは読書アプリですが、アプリ内で電子書籍を買うことができます。つまり読書とストアを兼ねたアプリです。
そうなると紀伊國屋書店は、このアプリ内で売れた書籍に関してはAppleに30%を支払う必要があります。
価格が1000円の書籍でも、自社のサイトで売れれば手取りが1000円なのに、このアプリ内で売れれば手取りが700円になってしまいます。
紀伊國屋書店にとって、これでいいのでしょうか。
ここに落とし穴が。
実は、同じ書籍でも、iPhoneのKinoppyアプリ内のストアでは販売価格が高いんです。
まずはiPhoneのウェブブラウザで見た紀伊國屋書店のウェブサイトでの価格。540円ですね。
次にiPhoneのKinoppyアプリ内ストアでの価格。600円です。
これは他の書籍でも同じです。
ユーザーは同じ紀伊國屋書店で、まったく同じ書籍を買うのに、紀伊國屋書店のウェブサイトで買うよりKinoppyアプリ内ストアで買うほうが割高になります。
内訳はこうなります。
「チェーザレ」第11巻
紀伊國屋書店ウェブサイトでの購入
ユーザーが支払う額 : 540円(税込)
紀伊國屋書店の取り分 : 500円
Appleの取り分 : 0円
iPhone版Kinoppy内ストアでの購入
ユーザーが支払う額 : 600円(税込)
紀伊國屋書店の取り分 : 390円
Appleの取り分 : 166円
つまり、iPhone版Kinoppyアプリ内ストアで買うと、ユーザーの支払額は高く、紀伊國屋書店の取り分は少なく、Appleがその分儲かるわけです。
別にAppleが儲かるから悪いという話ではありませんが、ユーザーの負担を減らし、販売業者の手取りを増やすという観点なら、Kinoppyアプリ内で買うよりも、紀伊國屋書店ウェブサイトで買うほうが良いという話になります。
ちなみに、どちらで買っても、Kinoppyアプリできちんと読むことができます。
なので、単純に安く買いたいユーザーにとってはKinoppyアプリ内で買うと損であり、しかもそれは紀伊國屋書店にとっても損なわけです。
わざわざウェブブラウザを起動してウェブサイトを開かなくても、ひとつのアプリ内で購入と読書ができるのは確かに便利ですが、Appleへの支払いが重くのしかかり、現実としてこのような現象が起こっているということです。
Kinoppyを活用している人は注意してください。
ちなみに、Appleの電子書籍ストアである、iBooks Storeでは、540円ですね。
iBooksアプリでもアプリ内で購入と読書ができて便利ですが、これはApple自身が運営しているのでAppleへの支払いは関係なく、だから割高にする必要は無いわけですね。
ただ、iBooksはAppleのサービスであるため、Appleの端末でしか読めません。
AmazonのKindleや楽天koboや紀伊國屋書店のKinoppyなら、iPhone、iPad、Android、パソコンで読めるので、将来、機種を変更しても心配ないです。
ボクは個人的には、iBooksではなく、これらをオススメしておきます。
チェーザレは、ものすごく面白い、中世イタリアの史実系の大作です。
良ければ読んでみてください。