うーん。
さすがに参った。
一応、こういうつもりだったんだけどね、っていうのを書いておいたほうがいいかなと思います。
1月20日の午後20:00ごろに、知人の紹介ということで、共同通信社の記者さんからお電話をいただきました。
後藤健二さん、湯川遥菜さんとみられる人物を、「イスラム国」が拘束し、日本政府に身代金を要求しているというYouTube映像に関して、合成の疑いがあるが、映像制作に携わる人間としてどう見られるか?という趣旨の問いでした。
お世話になっている方からの紹介でもあったので、分かることは話そうかと思い、電話での取材を受けました。
前提として、自分は合成も行うが、メインは映画やドラマの編集技師であって、合成に詳しい人間はもっと他にいるから、紹介しようか?という提案を却下されてのことです。
自分としては、
「確かに、影の方向が左右の二人で違うのは違和感がある。横から光が当たってたとしたら、変だ。
ただ、衣服の揺れが違うのは、風向きだけじゃなく、障害物もある可能性もあるし、そんなに気にはならない。
広角目のレンズで撮ったにしては、フォーカスがやけにかっちりしてるし、背景もボケとる。
もしかしたら、書き割り(背景を巨大な写真や、絵を用意してその前で撮るやつ)かもしれないけど。
ただ、地面の影を見ると、ちゃんと影が岩の形に沿って落ちているので、少なくとも地面は本物っぽい。
総合して考えると、遠景と空は合成(というかスタジオ?)である可能性を否定できないけど、三人は同じ場所にいるのを撮ってるとは思う。」
と答え、
その後、21:07ごろに再度お電話をいただき、記事化された文章を聞かせてもらいました。
その時点で、「太陽光でこの影の出方はあり得ない」という文章になっており、
「いやいや、そんなことないんです。太陽光でも、カメラの後方に光源があって、そこそこ広角目で撮ったら、ああなるんで、外で普通に撮ったことはパッと見否定できないです。」
と伝えたところ、
「そうなんですか、そこも書いておかなければいけませんね」
という返答で、この日は終わりました。
翌日、友達から連絡が、「新聞にこんなののってる!」と東京新聞さんの記事を写真で送ってくれました。
「太陽光は原則こうした影はできない」
と、僕がコメントを出したようにしか読めない文章でした。
正直、「??????」んなこと言ってないじゃん?できるって言ったじゃん?
しばらく考えていると、地元の仲間や各地から、取材受けたの?と連絡が舞い込んできました。
正直、共同通信社さんの記事をどれほどの新聞社やニュースサイトが配信したのかは数えてはいませんが、相当数の方にこの記事は読まれているのだと、戦慄を覚えました。
はては、他の新聞社やワイドショーからも取材依頼が来る始末。
さすがに、自分の発言と乖離した文章が一人歩きしていることに、合点がいかず、共同通信社の記者さんに電話しました。
「あのー、僕、太陽光でもああいった影出る可能性あるっていいましたよね?」
と。
回答は
「そうですよね、おっしゃっていましたよね。
でも、あのあと政府関係者からも合成の疑いがってコメント出ましたよね。なので、それに沿わない部分は書く必要なくなっちゃいまして。
それに、ちゃんと”原則”って追加したんで、太陽光下で100%出ないってことには読めない文章になってますんで」
はい?
政府の発表と違う部分は削除?
「原則」ってつければ、違う場合も許容される?
もう、なんか悲しくなってきました。
ただ単に、噂に真実味を持たせるためだけに、映像作っている人間なら誰でもよかったんでしょうね。
肩書きと実名が欲しかった。合成の疑いを否定しないコメントだけ載せる。
なんのための取材なんだろ。
悲しくなって、TwitterやFaceBookではすぐに、この記事の俺の発言おかしいからね、という趣旨のことは書きましたが、
日を置いて、やっぱりやるせないので、このブログにも残しておきたいと思いました。
今まだ、解放されず捕らわれているお二人が、どういった経緯で、あのような事態を招いているのかは、全くわかりません。それに関する、日本政府の対応に、この場で意見するつもりもありません。
合成かどうか、なんてある意味瑣末な問題で、それよりも大事なことは別にあるでしょ、っていう思いの方が強いです。
ですが、「報道」というものに本当に失望しました。
自身の関わった作品や、今までの活動を全否定されかねない、こういった事態を招いた軽率な取材対応をしてしまったことに、心身ともに疲れました。
ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございません。
これからは、こういった取材は一切お受けしないことにしたいと思います。
自分の本分は、いい映像をいっぱい作ることだ!
がんばるぞ。
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