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弔い2.0:ちゃんと悼むためのスタートアップ

 
 
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TEXT BY KEI WAKABAYASHI

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“medieval funeral” by Hans Splinter (CC:BY 2.0 Generic)

自分がどんなかたちでこの世を去りたいか、みなそれぞれの願いをもっているが、実際に、それが叶うことは少ない。「看取り」について厚生労働省が行った調査がある。人生の幕引きの場面において「理想は本人の主導であるべき」と答えた人は76%であるにもかかわらず、「本人の理想通りに現実化した」と答えた人は14%しかいないというのだ(『文藝春秋』2014年11月号「世界の『死に方』と『看取り』12カ国を徹底比較」)。

篠原は「自分が死にたいと思ったやり方を叶えてくれるための選択肢が少ないんです」と語る。

都市化が進み、核家族化、ひいては「おひとりさま化」が進む今後の暮らしにおいて、「死に方の選択」は重要なテーマとなってくる。人の流動性が高まり、地縁や宗教による人々の結びつきが希薄化、あるいは無効化されていく世の中にあって、「葬儀」や「弔い」の形式は、ますます自己決定化され、パーソナライズされていくこととなる。

「いわゆる『おひとりさま』からのお問い合わせも最近は増えています。『お金を預けるのでわたしが死んだら火葬してもらえませんか?』というお問い合わせです。けれども、ふたつの理由から実現にはいたっていません」

ひとつ目の理由は、お金を預かるところをどうサーヴィスとして解決するのかという点。「仮にうちが倒産したとしてもお金がちゃんと戻るような仕組みになっていないといけません。きちんとした信託の仕組みが必要です」。そして、もうひとつは、ひとり暮らしの方が亡くなったことをどう知るか、という点だ。篠原は語る。

「2点目については、あるいはスマートフォンというデヴァイスが重要な役割を果たせるかもしれません。毎日何らかの通知を送り、それに対する反応を見ることで生存を確認できるかもしれませんし、GPSを使って見守ることもできるでしょう。さらに、例えば高齢化した団地などでは、ソーシャルネットワークを使って、お互いのことを見守るような仕組みも考えることができます。誰かに何かが起これば、それがトリガーとなって、身内や友人にすぐさま連絡が行くような仕組みもありうるでしょう」

監視といってしまうと聞こえは悪い。けれど、死をモニタリングするテクノロジーは、「孤独死」が社会問題化している現代においては、必要な装備とも言える。

「いま、多くの人が求めはじめているのは、自分の『死』を自分できちんと決めるということなんじゃないかと思います。そうすることで、遺された人も安心して、悼むことができる。うちでは近々新たに、通帳やその他の資産などを管理して、ご家族や友人に、その内容を生前にシェアしておけるアプリを発表します。亡くなったあとに、知らない預金通帳が出てきて困ったなんてことをなくすためです。こうしたことが起こってしまうと『故人を悼む』どころではありませんよね。故人が望んだかたちで、それに沿って遺された人がちゃんと悲しむことができる。そのための新しいサーヴィスが今後ますます必要になってくるはずです」

先の記事では、国際長寿センターが行った調査が掲載されている。「死についてよく考えるか」という問いに対して、日本人が突出して高いパーセンテージを示したことが記されるが、実態はといえば、日本人は「死」についてではなく、死後の後始末やそれにかかる費用について「考えている」にすぎない。

「死」を考えること、すなわち「お金の心配」であるという事実。きちんと悲しむべきは、まずはそこなのかもしれない。


 
 
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