藤井裕介
2014年12月20日14時36分
69年前の沖縄戦で数多くの負傷者がかつぎこまれ、「ひめゆり学徒」たちも看護にあたった、沖縄県南風原(はえばる)町の丘陵に掘られた壕(ごう)内の病院のにおいが再現された。汗や血、汚物などが混ざった強烈なにおいだ。壕を管理する同町立南風原文化センターが「戦争の悲惨さを、より確かに伝えたい」と、当時、壕にいた人たちの証言をもとにつくった。早ければ来年1月から壕の見学者にかいでもらう。
1944年、那覇市内にあった沖縄陸軍病院は米軍の空襲で焼失し、南風原国民学校に移転。さらに米軍の攻撃が激しくなり、45年3月、学校近くの丘陵に掘られた壕へ移った。その跡が「沖縄陸軍病院南風原壕群」として残る。
沖縄県南城市で暮らす金城栄善さん(80)は、45年4月ごろ、米軍の攻撃を避けるため、姉や妹らと病院壕に逃げ込んだ。入り口近くにたたずんだ金城さんの耳に、暗い壕の奥から負傷兵の声にもならない声が聞こえた。しかし、何より強烈に記憶に残っているのが、においだ。「ブタやネコの死体が腐ったようなにおいに、いろいろ混ざった感じ」という。
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朝日新聞社会部
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