八ヶ岳山麓に栄えた縄文王国 井戸尻遺跡群の華麗な文化
2008.11.05

井戸尻遺跡群は八ヶ岳山麓に広がる縄文中期の遺跡群で、井戸尻、曽利、藤内、九兵衛尾根などの遺跡が密集している。八ヶ岳から富士山を望む絶好の高原で、出土した多くの華麗な土器によって、この地に栄えた縄文王国の文化の高さを偲ぶことが出来る。


井戸尻遺跡
井戸尻考古館の前に広がる史跡公園で、竪穴住居を中心に整備されている。国の指定史跡である。


水煙土器        曽利遺跡
円を中心とした文様が口縁部を突き抜けて上へ上へと盛り上がった独特な造形。
人面土器         曽利遺跡
器面に人面をあしらった椀。両手を前についてお辞儀しているような不思議な文様だ。


月牙文浅鉢      曽利遺跡
口縁から内に向かって半月状の隆起文様をつけた浅鉢。
台付き浅鉢       曽利遺跡
非常に丁寧な造りの浅鉢。
神への供物を入れたのだろうか。


有孔鍔付樽と器台   曽利遺跡
口縁部の孔は蓋を閉じるためのものであろうか。何かを貯蔵するか、酒を発酵させるための器であろう。
蛙文深鉢         曽利遺跡
大きな目をした蛙を貼り付けた深鉢。蛙の他に水中の生物のようなみづち文が施されている。


浅鉢         九兵衛尾根遺跡
口縁部に独特な文様をつけた浅鉢。
半人半蛙文深鉢  九兵衛尾根遺跡
3本指の手のような文様。


双眼付き深鉢     藤内遺跡
二つの大きな目のような造形が印象的。
神像文系深鉢      藤内遺跡
どれが神像かわからなかった。


蛙文深鉢       藤内遺跡
大きな目をした蛙。取っ手の部分が背中と手足だろうか。
乳房状口縁大深鉢    藤内遺跡
口縁部にいくつもの乳房状の突起を施した不思議な装飾土器。


蛙文蛇文蒸器     藤内遺跡
蛙と蛇を同居させた土器。
胴がくびれていて、蒸器として使用した
ものらしい。
有孔鍔付き樽      中原遺跡
2斗は入ろうかという巨大な壺。
孔が空いているので蓋をして密閉した
のだろう。


富士眉月弧
今から5千年前の縄文中期、富士山を左目、諏訪湖を右目となぞらえ、三日月眉のように広がる地域に、同じような雰囲気を持つ土器、土偶を造り、風俗習慣が似通った人々が住んでいた。富士眉月弧と呼ばれる南関東から天竜川までの一帯である。互いの交流が盛んで、高度に発達した縄文文化が栄えていたのだ。


井戸尻考古館
長野県富士見町にある。井戸尻遺跡を前に眺める高台にあって、井戸尻遺跡群からの出土品を展示している。藤内遺跡出土の土器や土偶199点は、国の重要文化財に指定されている。
写真は一部を除いて撮影可。休館日は毎週月曜日と祝日の翌日、年末年始。

国府物語のトップページへ 信州そばと縄文の旅