金子兜太といとうせいこうが選ぶ「平和の俳句」 作品募集

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入選作品

2015年1月15日〜1月21日

戦争の後ろ姿を離すまじ

 千田 康治(53) 宮城県石巻市

<金子兜太>今次大戦の悲惨を絶対に忘れないぞ、忘れるものか、と言い切っている。その潔さをいただく。少しおどけた言い方がひびく。(2015年1月21日)

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青春のすべてをなくしルソン島

 福澄(ふくずみ)奈津子(84) 名古屋市東区

<金子兜太>フィリピン・ルソン島の激戦で、七人の兄妹の一人きりの兄が戦死したと、作者は付記。悲惨に失われた兄の青春。戦争を憎む。(2015年1月20日)

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いつか来た道は通行止メである

 大釜 洋志(72) 徳島県鳴門市

<いとうせいこう>戻らせない。通行止メにするのは私たちである。強い意志であると同時に、想像をかきたてる前衛句とも読める。まるで夢のような。(2015年1月19日)

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寒き世や残してならぬ原発禍

 櫻田 昌三(78) 三重県度会(わたらい)町

<金子兜太>「原発禍」は「被曝(ひばく)」という言い方でもよい。福島原発の被害の大きさ、離郷の無情さ。作者はその救済を訴え、政府の怠慢を怒る。(2015年1月18日)

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こうべ垂れ敗戦を知る夢いまだ

 南藤(なんとう) 文子(87) 金沢市

<金子兜太>敗戦の詔勅を聞く夢をいまでも見る。あの救われた思いが、今も。<いとうせいこう>落胆で垂れた頭かもしれない。鎮魂、悔しさ、そして祈りでもあろう。(2015年1月17日)

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かたつむりいずこの国へ汗の道

 田口 常義(74) 岐阜県中津川市

<いとうせいこう>ゆるゆるとしかし一心にどこへ向かおうというのか。汗の痕を残してまで。あるいは過去の汗を忘れて。背中の殻は大事な未来だぞ。(2015年1月16日)

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戦場になれば子が死ぬ狂い花

 加藤 満(80) 名古屋市名東区

<金子兜太>率直な訴えが身にしみる。まったくこのとおりで、「集団的自衛権」は国外だけのことではないかもしれない。「狂い花」が殊にひびく。(2015年1月15日)

 
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