債券は大幅安、20年債入札結果やECB控え売り-先物「ザラ場」引け
(ブルームバーグ):債券相場は大幅安。20年利付国債の入札結果や欧州中央銀行(ECB)理事会を控えて売りが膨らんだ。
長期国債先物市場で中心限月の3月物は前日比7銭安の148円10銭で開始。いったんは148円33銭まで上昇したが、午後零時45分の入札結果発表後に水準を切り下げ、一時は76銭安の147円41銭と2014年12月16日以来の安値を付けた。大引けは取引が成立せず、直前の値段である147円65銭が終値となる「ザラ場引け」した。
大阪取引所広報担当の荒木遼平氏は、14年3月に東京と大阪の取引所がデリバティブ市場を統合して以降、長期国債に限ってみると、「ザラ場引けしたのは初めてとみられる」と述べた。大引けの取引では147円65銭から11銭安い147円54銭で売買注文が拮抗し「上下10銭」としている値幅制限を超えたため取引を成立させなかったと言う。
三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケットストラテジストは、「今の国債市場は需給だけで金利が動いている。今日になってファンダメンタルズが大きく変化したはずはないが、このところの金利低下の反動が出た。売った後にどうするかはともかく、利食いしたい気持ちは分かる。ややスティープ化したのは、今夜のECBを先取りした米独金利の上昇を反映した面がある」と話した。
日本相互証券によると、現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の337回債利回りは、前日午後3時時点の参照値より1.5ベーシスポイント(bp)高い0.26%で開始。いったんは0.24%に下げたが、午後は水準を大きく切り上げ、0.325%と5日以来の水準まで上昇。その後も0.3%台で推移している。
5年物の122回債利回りは5bp高い0.065%と昨年12月16日以来の高水準を付けた。20年物の151回債利回りは17.5bp高い1.075%と昨年12月25日以来の水準まで上昇した。新発30年債利回りは18bp高い1.29%と昨年12月22日以来の高水準まで達した。
岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「年初から利回り低下ピッチが速かったこともあり、買い持ち高をいったん整理する売りが膨らんだ」と言い、「債券はかねて懸念された流動性薄い中での急落となった」と説明した。
財務省が実施した表面利率1.2%の20年利付国債の入札結果によると、最低落札価格は104円85銭と事前予想と一致。小さければ好調なテール(落札価格の最低と平均の差)は11銭と前回の8銭から拡大。投資家需要の強弱を示す応札倍率は3.26倍で、前回の3.71倍から低下した。
大和住銀投信投資顧問の奥原健夫シニアファンドマネジャーは、入札結果について「市場予想値に近いところに収まった」と述べた。ただ、案分比率が83%台と高かったことに着目。「下値でつかんだという形で、強気に見ていないと捉えられた。相場の上昇ペースが速かったことやイベントを控えてやや慎重になったのではないか」と分析した。
ECBは22日に定例理事会を開催する。ブルームバーグ・ニュースの調査によれば、量的緩和(QE)に踏み切ると予測するエコノミストは回答者全体の93%に上った。ドラギECB総裁は、最大で1兆1000億ユーロ(約150兆円)規模となる量的緩和計画を提案した。
DIAMアセットマネジメントの山崎信人上席ファンドマネジャーは、20年債入札について「ECB理事会というイベントリスクを前にしていたことから警戒されたが、比較的無難な結果となった」と説明した。ただ、相場については「先物や超長期を中心に、日銀金融政策決定会合に向けた緩和の思惑による金利低下と、サプライズなしの結果を受けた反動の動きが続いている」と話した。
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更新日時: 2015/01/22 16:27 JST