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 欧州中央銀行(ECB)は22日の理事会で、国債などの資産を買って市場に大量のお金を流す量的金融緩和を導入することを決めた。ユーロ圏各国の国債を買うことにドイツなどから反対は強かったが、物価が下がり続けるデフレに陥るのを防ぐため、導入に踏み切った。量的緩和は日米英でとりいれられたが、ECBでは初めてで、金融政策の大きな転換となる。

 ECBのドラギ総裁が理事会後の記者会見で表明した。資産の買い入れの規模は、月600億ユーロ(約8兆円)。今年3月から来年9月末まで続けるとしており、総額約1兆1千億ユーロに達する見通しだ。ECBが目安とする消費者物価上昇率(インフレ率)「2%弱」を回復する見通しが立たない場合は、その後も買い入れを続ける。欧州連合(EU)などの支援を受けているギリシャなどの国債を買い入れる場合には、財政再建で追加の条件をつける姿勢を示した。

 ユーロ圏19カ国の政策金利は、過去最低の年0・05%に据え置く。民間銀行がECBにお金を預ける際の金利もマイナス0・20%で維持する。

 ユーロ圏の昨年12月の物価上昇率は、約5年ぶりにマイナスに転落した。政府債務危機後の不況で需要が低迷していることに加え、最近の原油安が影響し、今後も低インフレが続くとみられている。将来の物価下落見通しによって消費や投資が低迷し、さらに景気が落ち込む悪循環に陥りかねないと懸念されていた。デフレ・低成長に長期間苦しんだ日本のようになるのを避けるため、ECBは量的緩和の導入を決断した。(フランクフルト=星野真三雄)