賃金が上がって消費が伸び、生産活動を活発にし、それがまた賃金増につながり消費を刺激する――。そうした経済の好循環をつくるため、企業の利益を生む力はこれまで以上に問われている。
経団連は円安による輸出採算の改善などで堅調な企業業績を背景に、春季労使交渉の指針で賃金の引き上げに前向きな姿勢を示した。社員全員の基本給を上げるベースアップ(ベア)も選択肢の一つとした。問題はこの先も継続的に賃金を上げていけるかだ。
法人減税や原油安によるエネルギーコストの低下は収益増の要因になる。だが持続的に利益を拡大していくには、事業の成長力を高めることが何より大事だ。
最高益更新や連続増益を見込む企業は少なくない。ただし電機や自動車業界などでは海外であげる収益の割合が高い例もみられる。国内の従業員の賃金を安定的に増やしていくには国内で稼ぐ力を高める必要がある。
日本生産性本部によれば働く人の付加価値を示す労働生産性の伸び率は、物価変動の影響を除いた実質ベースで昨年4~6月期、7~9月期と連続して前の期を下回った。消費増税の影響はある。だが企業はそれを跳ね返すだけの競争力をつけなくてはならない。
付加価値を高めた製品やサービスを、ふさわしい価格で販売する戦略が重要になる。食品などでは値上げしても売れ行きが落ちない例が出ている。新しいビジネスモデルの創造にも力を入れ、「脱デフレの経営」を広げたい。
日銀によると企業(金融を除く)が抱える現預金は昨年9月末で233兆円と過去最高水準にある。企業買収や設備投資など資金の有効活用も急ぐ必要がある。
デフレ脱却をめざす政府は今年も政労使会議を通じて企業に賃上げを促した。市場メカニズムを損なう心配があり、政府は民間の賃金決定への介入を控えるべきだ。干渉させないためにも企業は、自社の収益力を高め、賃金を上げやすくすることが求められる。
日経平均(円) | 17,329.02 | +48.54 | 22日 大引 |
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NYダウ(ドル) | 17,607.80 | +53.52 | 22日 10:28 |
ドル/円 | 117.53 - .56 | -0.46円高 | 23日 0:23 |
ユーロ/円 | 134.75 - .86 | -1.85円高 | 23日 0:23 |
長期金利(%) | 0.310 | +0.065 | 22日 17:18 |
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