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 戦後、100人を超える日本人戦犯を収容していたフィリピンの「モンテンルパ刑務所」。同国政府に減刑と釈放を嘆願した歌手渡辺はま子と戦犯の交流を描く舞台が今月、横浜市で上演される。終戦から70年。元戦犯の子どもも「戦争の記憶を風化させたくない」と心待ちにしている。

 横浜生まれのはま子は1933年に歌手となり、戦前は「夜来香(イエライシャン)」、戦後も「桑港(サンフランシスコ)のチャイナタウン」など多くのヒット曲を歌い、1999年に89歳で亡くなった。

 敗戦後の52年、モンテンルパ刑務所に収容されていた日本人死刑囚が、望郷の思いを込めて作詞・作曲した譜面をはま子に送った。はま子はこの曲を「ああモンテンルパの夜は更けて」として発表し、大ヒットした。

 この年の暮れ、はま子は刑務所を訪れてこの曲を歌い、戦犯の減刑と釈放をフィリピン政府に嘆願。翌53年に特赦で全員が日本に送還された。

 この逸話をもとに、横浜在住の作家山崎洋子さんが舞台脚本を書き下ろし、女優五大路子さんが率いる「横浜夢座」が2001年、「奇跡の歌姫 渡辺はま子」として初上演した。

 はま子役を演じる五大さんは初演にあたり、元戦犯たちから刑務所の生活を聞き、日本の家族との手紙を見せてもらった。その後も元戦犯で作る「モンテンルパの会」の旅行や定例会に顔を出してきた。

 だが、ここ数年でメンバーが次々と亡くなり、「消えゆく声を聞かせてもらった者の使命として、戦後70年の節目にモンテンルパをよみがえらせよう」と02年以来の再上演を決めた。