五 瀕死の香港人事件
ここ数ヶ月も、タレコミ屋の小山内は、勝村警視のオフィスにやって来ては、偽情報を売りつけようと必死だった。
「サモ・ハン誘拐事件のネタがあるのさー」全くあてにならない、役立たずのタレコミ屋は、いかにも秘密を打ち明ける雰囲気で言った。
「そのサモ・ハンというのは?」
勝村警視が織田原に説明した。
「先月、香港のタイムズスクウエアで誘拐された十二歳の少年です。大金持ちの父親が身代金を払いましたが、その少年はまだ帰ってこないんです」
「昨日の夜さー」
タレコミ屋の小山内が語り始めた。
「野呂さんの民宿で、もうすでに死にかけている爺さんが、死ぬ間際に、色々話し始めたのさー。その爺さんはずっと香港に住んでたらしくってさー、彼の人生で唯一の汚点が、先月の出来事の話だった。ここからが俄然面白い話となるんだけどさー。なんと、なんと、その爺さんが
サモ・ハン少年の身代金を回収しに行ったと言うのさー。んで、その分け前をもらう前に、仲間内でその少年を殺す相談を、この爺さんは聞いてしまったらしいのさー。それで、その晩、貨物船に乗り込んで、密航したんだってさー。彼が死ぬ間際に、誘拐犯たちの隠れている、香港
の町の名前を教えてくれたのさー。もちろん、その爺さんは中国語でしゃべってたから、俺には何を言ってんのか、チンプンカンプンだった。
だけど、語学達者な野呂さんが通訳してくれたのさー。野呂さんに訊いてくれればわかるよ。その民宿の場所教えようかー?もちろん誘拐犯たちが隠れている町の名前は、はした金じゃ困るんだけどさー」
勝村警視は警棒を振り回して立ち上がった!名探偵の織田原が黙ってオフィスのドアをガチャリと開けると、小山内は慌てて逃げ出した。
問五 どうして、タレコミ屋の小山内は全く相手にされなかったのでしょうか?
(制限時間1分間の推理をして下さい。答えは下記の通り)
正解五 タレコミ屋の小山内は、民宿の野呂さんを、大金を積んで、口裏を合わせるように頼んだのです。
しかし「ずっと香港に住んでいた」瀕死の老人ならば、彼の話す言葉は、中国語ではなく、香港の言葉、広東語で話すはずです!
織田原任三郎でした・・・。
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