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1分間のミステリー事件簿2 作者:えぞかわらんき

四 ギザ十円玉事件

 真夜中に視界の悪い界隈を走っていた織田原は、急ブレーキを踏み込んだ。ヘッドライトの光は、歩道にぶっ倒れている男を照らしだしたのだ。その男はまだ息があったが、首筋あたりに絞められた痕が残っていた。どうやら突然、名探偵織田原が現れたので、犯人は驚き、慌てながら、その場から逃げ出したに違いない。この通りには、全く人の気配がなかったが、近くの廃墟のような建物から、老人が出てきた。
「なんだ木杉さんじゃないか!恐らくこんな事になるじゃないかと思ってたんじゃ。だからあれほど用心しなさいと言ったのに・・・」
「何を言ったのですか?」織田原が訊いた。
「ギザギザの十円玉、最近の若者たちは、略してギザ十とでも言うのかの?それをジャラジャラ鳴らしながら、歩くのはやめろと、いつも言っておったのじゃ。わしは、菅原っていうんだ。三十年も木杉さん向かいに住んでるものじゃが。今から約十五分前かのー、木杉さんが出かける音が聞こえたのじゃ。また例によって、ジャラジャラと鳴らしながら・・・。まるで盗んでくれと言わんばかりに」
「そのギザ十は、かなり価値のあるものなんですか?」
「昭和三十三年は発行枚数が少なく、しかも印刷ズレときたら、それは、それは、物凄く希少価値が高いのじゃ!今じゃ数万円以上するはずじゃよ。この木杉さんは、まるでお守りみたいに持ち歩くのじゃよ。だからわしは、気をつけなさいと言ったのじゃが・・・。もう盗まれちゃったのかのー?」
歩道を捜してもいいかと聞く菅原に、織田原は苦みばしった表情で、頭を左右に振った。だが、病院で木杉氏のズボンの右ポケットから、幸いにも、そのギザギザの十円玉が見つかった。
織田原は勝村警視に電話をかけた。
「その木杉氏のポケットの中に入っていたのは、一枚のハンカチと一万円札一枚が入った小さな財布だけだった。んふっふっふっ、ただちに
菅原を逮捕すべきだ!」

問四 どうしてでしょうか?
(制限時間1分間の推理をして下さい。答えは下記の通り)




















正解四 大変希少価値のあるギザギザの十円玉を、ジャラジャラ鳴らす音が聞こえたので、自宅にいても木杉氏が出かけるのが、わかったと言った菅原。しかしそれは、あくまでアリバイを作るための嘘だと、名探偵織田原は見抜いたのです。
なぜなら、木杉氏のポケットの中には、そのギザギザの十円玉が一切ぶつかるようなものが入ってませんでした。
すなわち、ジャラジャラ鳴るはずもありませーん!
織田原任三郎でした・・・。
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