タイトルを読んで「何を当たり前なことを…」と言う人がいるかもしれない。
でも、実際にゲームを数多くこせばわかるが、商売がメイン、特に行商がメインとなって、ギャグやバトルはもちろん萌え要素を添え物にしたゲームは実はほぼない!
剣と魔法のRPGに行商要素がついていたり、行商する仲間と仲良くなるゲームの方が圧倒的に多く、行商自体がメインの作品は宿内。
だから、すごいことだ!ゲームとして描きにくい題材・カテゴリーの中でゲームとして成立させつつ、この作品のようにちゃんとフリーゲーム界隈で評価されるゲームを作れると言うのは大したことだ!
・ゲームの概要
ゲームの舞台となるのは剣と魔法のファンタジー世界。
海あり砂漠ありと自然環境豊かな島国が舞台です。
町と町との間には街道が敷かれ旅人の安全は確保されていますが、山中や森の中には危険な生き物がうごめく未開の地が未だ残っています。
プレイヤーは駆け出しの商人として、この世界で相棒のレーニャと共に大商人を夢見て旅立ちます。
ゲームで旅する地域はこんな感じ
先ほどもチラッと触れたように評価の高いゲームで「ウディコン4位」の実績もあるゲームだ。
一人じゃ戦えない行商人が街や世界を救う話
このゲームの大きな特徴といえる部分は「主人公や他の商人達が戦えないこと」だ!
「行商要素のあるRPG」ではなく、「行商メインの経営ゲーム」なので、単に自分のお店を開くだけならば特に戦うことはない。
このゲームのストーリーは大きく分けて3つのエンディングがある。
・1つは自分のお店を開くまで。(ここで終わることもできる)
・もう1つは戦争で荒廃した街の復興をするまで(ここまでが本編)
・最後が、攻略サイト必携の「トランスポーター」という敵を探して倒すまで。
重要なのは「街の復興」と「トランスポーター探し」は敵と戦わないといけないシーンがあるため、行商人でありながら、傭兵を雇って危険な道をわざと通って敵と闘いながら必要な物を入手しないといけない。
もちろん、行商メインなので戦闘要素のあり方が大きく異なる。
まず、商人はほとんど戦えない。
次に資金集め・素材集めがゲームの大半を占めるので、それほどバトルバトルしない。(あくまで資金を集めないと倒せない・達成できないのがこのゲームらしい所)
最後に、傭兵も商人もレベルがあり、一緒に旅をして、給料を払いながら育てないと実戦で使えない。
このゲームには悶えるような萌え要素もなく、かっこいい武器や必殺技もほとんど出てこない。でも、ゲームをやり遂げたり、やり遂げるストーリーや終わった達成感をシンプルな操作と行商という風変わりな立ち位置で実現している所が素晴らしい!
行商要素である物の売買、シンプルな交渉、街を行き来するだけでゲームが成立する構造だ。だが、シンプルなゲームだからこそ、成立させるために制約すべき所は制約し、逆に行商要素を際だたせる部分は際立たせている。
制約の部分は先程述べた「戦闘ができないこと」「人を育てないといけないこと」だが、際立たせている工夫はなにか?
それは効果で取引できる限定のアイテムや、商人の特徴を情報収集して取引する調べ込みややりこみ、あるいは数多く点在する限定のイベントやミニゲーム…。
華々しいゲームでは決してないが、だからこそゲームが好きな人を魅了するような細やかな工夫が多く、長くやりこんでも「もっと色々あるんじゃないか?」と探したくなるところがこのゲームの魅力だ。
実際、街の復興に関するイベントは行商というゲームの最も象徴的なところで、こまめにキャラに話しかけたり、損得以外で色んな所に顔を出してみないと気づかないような所から物語が始まり、その完結もまた華々しいものではなく、モブキャラに話しかけて初めて行商の世界観を深く掘り下げることができる…と言うものだ。
とてもいぶし銀なゲームで、ゲームが好きな人向けのゲームで、時代とは逆行した地味なゲームだと思う。
だが、それだけの制限の中で面白くしようと工夫したからこそストーリーは深く、行商で大金を動かす爽快感が気持よく、バトルなどの番外ややりこみ要素のクリアにも熱が入る。
「なんとなくこういうのがウケそう」という所に逃げたゲームは商用・フリー問わず多い中で、説明だけ聞くキャッチーさやウケ狙いを感じないような逃げてないゲーム、それでいてちゃんと面白いゲームは貴重だ…。
だからやって欲しいのよね…。
ちなみに、このゲーム攻略の鍵はお水です。国が雪国から砂漠まで色んな所にまたがってるので、単純に価格の差がつきやすいのは水です。ただ、このゲームはよくできてて、あまり物を動かしすぎると相場が変わるので、いつも水がいい商品とも限らないのが、手の込んだところです!
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