ここに注目! 「小中学校 統廃合促進方針の波紋」2015年01月20日 (火) 

早川 信夫  解説委員

(寺門キャスター)
 文部科学省は、小中学校の統廃合をより進めやすくするため、これまでの基準をおよそ60年ぶりに変更する方針を決め、きのう(19日)開かれた中教審・中央教育審議会に報告しました。早川解説委員です。

Q1. 見直しのポイントは何ですか?

A1.通学についての基準を見直すのが最も大きな変更点です。これまでは、こどもの通学の負担を考えて▽小学校は4キロ以内▽中学校は6キロ以内を統廃合の基準としてきました。今回、これに加えてスクールバスなどを使って「おおむね1時間以内」という目安が示されました。これまでは、こどもが歩いて通える範囲、遠い場合は自転車も使って通える範囲として4キロ、6キロと計算してきました。地域によってスクールバスを使ったりしているところもあり、現状にそぐわなくなってきたと判断したものです。
 
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Q2.どうして統廃合を進めることにしたのですか?

A2.文部科学省はこどもの学習に支障が出かねないことを上げていますが、ほかにも2つの理由があります。一つは、地方の教育委員会からの要望。少子化で小規模校を抱える教育委員会から、統廃合を進めたいのに地元の反対が強く踏み切れない、国からのお墨付きがあれば進めやすくなると要望があったということです。2つめは、国の財政事情。国は先生の給料の3分の1を負担していますが、財政ひっ迫の折、統廃合によって先生を1万8千人減らせるとはじき出された。浮かせたお金を別の予算に回せるという思惑があります。どうやら政府の本音は、2つめにあるようです。
 
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Q3.これで統廃合が進むのでしょうか?

A3.この方針で勢いが増すことは確実です。最終的には自治体の判断に委ねられますが、それでなくても、この10年に限って言えば1年に300校ずつのペースで学校がなくなっています。統廃合を決めきれない自治体からすれば歓迎といったところでしょうが、一方で、こどもたちに通学の負担をかけることになりはしないか、地域のシンボルとしての学校が消えることでますます過疎が進むのではないかと心配する声が上がっています。政権が掲げる地方創生とは逆向きになりかねないだけに前途は多難と言えます。