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【コラム】

筆洗

 小一の時は「ろ組」だった。数字の3ではない。いろは順のろ組。最近は学級名は数字か、アルファベットが大半だが、一九七〇年代には、いろはの学級が残っていた▼同僚に話をすると、自分も「一年ろ組だった」という。しかも、一学年六学級で「と組」まであったと自慢する。六学級でいろは順の七番目の「と組」は変だと気づく方もいるか。「へ組」がなかった。詳しい理由を説明することはないだろう。同じ理由で、町火消しにも「へ組」は存在しなかった▼文部科学省が公立小中学校の統廃合基準を五十九年ぶりに見直した。全校で六学級以下しかない小学校について、自治体に対し統廃合の検討を促している。一学年に「い組」しかない学校やその地域の方々には心配の種であろう▼少子化、過疎化が進む中、統廃合促進はやむを得ない部分もある。財政事情もある。あまりに同級生の少ない子どもも気の毒であるが、統廃合の結果、学校を失ってしまう地域のことが気にかかる▼園児の遊ぶ声が「騒音」に聞こえる方もいるが、人口が減っている地域では、学校での元気な笑い声は未来への励みや期待であり、楽しみである。思い出も詰まった「宝」である▼母校の小学校も現在一学年一学級。学校が消えれば、夕刻、山あいの町に響いた「七つの子」も消えるのか。そういう状況を地域の活性化とは誰も呼ばない。

 

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