2015年01月18日
日本対イラク ~ネガティブなトランジション~
アジアカップ第2戦目の相手はイラク。グループリーグの中では強敵と目されている。初戦と同じスタメンの日本。過密日程なので、ほんの少しのターンオーバーも考えられたが、この試合に勝てばグループリーグ突破はほぼ決定する。よって、疲労よりもまずはグループリーグ突破を狙った采配といえるだろう。
■トランジションの設計はあるのかないのか
攻撃面はパレスチナ戦の分析から特筆すべき違いは特になかった。基本哲学は同じ。昨年のレアル・マドリーのディ・マリア、モドリッチロールをやらせるために、香川をインサイドハーフで起用しているように感じる場面があった。サイドハーフで乾が行っている仕事は香川で代役可能だが、ディ・マリアたちがやっていたタスクを日本でこなせそうな選手は香川くらいしかいない。そう考えると、香川をインサイドハーフで起用している意図のつじつまが合ってくる。その他では、相手のSBの裏を攻略するためのロングボール、相手のCBを動かすための岡崎のサイドに流れる動き、インサイドハーフの飛び出しなどが目立っていた。特に初戦から比べると、本田のポジショニングがチームのモデルに近くなっている印象を受けた。サイドよりも中央で相手のマークを撹乱する役割。
極端に表現すると、このような形になることもあった。森重の位置で遠藤、香川、つまり、インサイドハーフの選手がプレーしているときは、彼らがそのエリアからサポートの動きを始める。サポートとはボールホルダーの後方でポゼッションの逃げ場、ボールを奪われた時の最初の守備者としての準備をすることだ。長谷部もその役割を行うのだが、ビルドアップのときにCBの位置まで落ちるので、いるべき場所にいないことがしばしば起こっている。問題はインサイドハーフが相手の裏に突撃したときのサポートをすべき選手がいないこと。インサイドハーフの突撃はチームの役割として整理されているのは間違いないが、そのときにサポートは誰が行うんだ問題は顕在化している。しかし、アジア相手ではなかなか鬼気迫る問題として現れることは今のところはあまりない。
守備の形として、高い位置からのプレッシングと自陣に撤退して4-1-4-1で撃退の形を日本は行っている。アジアレベルではキーパーを使ってショートパスでプレッシングを回避するレベルのチームはあまりないので、無謀なプレッシングが相手を苦しめる現象が出ていた。もしも、相手がショートパスでプレッシングを回避できるようだったら、自陣に撤退するプランもあるのだろう。その場合の問題点は中盤の中央にある。
4-1-4-1の泣き所。もちろん、ボール保持者にプレッシングをいっている選手がボール奪取力に優れていれば、なんとかなるかもしれない。しかし、この位置を担当しているのが遠藤と香川。餅は餅屋。攻撃面で香川が見せているように、相手を突破しなくてもパスコースを作ることができれば、4-1-4-1の泣き所にボールを供給されてしまう。または、CFにいきなり楔のボールが入ってしまう。楔のボールに対して、吉田が連続にファウルを取られてしまう場面があった。そもそも、簡単にボールを通させてはいけない場面。
泣き所を埋める。空いた5番にはスライドで対応するか、本田、岡崎で対応。つまり、4-1-4-1の長谷部のポジションを固定的に考えないことが大切。
固定的に考えなければ、このような形も可能になる。しかし、香川と遠藤にここまで守備を求めることはどうなんだ!と言われれば、なんとも言えない。後半に今野が登場して、持ち前の守備の迅速さを見せていたのが印象的だった。4-1-4-1の形に拘ると、インサイドハーフの選手の守備への献身性によって、守備力が左右されるのが現状だ。また、スコアに差があると、守備をサボる場面はどうしても出てくるものなので、森重と吉田、そして長谷部の苦労は絶えない。今のところは勢いで守備をごまかせている部分が大きい。そのごまかしは相手の能力に依存する部分が大きいので、強者と当たった時にどのような現象が出るのかは非常に楽しみだ。
パレスチナ、イラクはゾーン・ディフェンスのふりしたマンマークの要素が強かった。エリアによってマンマークに切り替えることもあるが、どうせならオールコートマンマークにでもしたらいい。中途半端にゾーンとマンマークをまぜると、相手の隙間でボールを受ける選手に対応しきれなくなる。セリエで流行っているように3バックの迎撃型でもやればいいのに、4-4の形にこだわっているのはちょっと理解できない部分でもあった。
■独り言
イラクの日本対策がセットプレーを頑張ると長谷部にハイボールを放り込むくらいしか読み取れなかった。なお、後者の長谷部に空中戦を挑み続けるは非常に効いていたと思う。この位置に森重を使っていたアギーレの気持ちがちょっとだけ理解できた気がした。この伏線がどこかで回収されないか心配だが、韓国やオーストラリアは日本のSBに空中戦を挑んでくると思うので、たぶん回収されないまま終わるだろう。
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- サッカー日本代表
- posted by らいかーると
- 19:40
- アジアカップ2015
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