欧州経済で重大な動き
今週は、欧州経済がどうなるか、興味津々のイベントがある。22日に予定されているECB(欧州中央銀行)の政策決定会合で量的緩和なるか、25日のギリシャ総選挙でユーロ離脱の方向だ。
日本の株価は、円ドルレートでほぼ決まってくる。ここ10年間でみると、円ドルレートと日経平均の相関係数は0.87と高い(下図)。
とはいえ、円ドルレート自体も、ユーロ経済の影響を受けている。この意味で、今週は要注意なのだ。そして、これからの述べるように、先週のスイスフランの動き、ECBの量的緩和、ギリシャのユーロ離脱、これらはすべて密接に関係している。
先週、スイスフランで大きな混乱があった。SNB=スイス国立銀行(中央銀行)は15日、対ユーロで設定していたスイスフラン高を防ぐ上限を撤廃すると突然発表した。これは、市場でも予測されていなかったので、直後にスイスフランは対ユーロで一時40%急騰し、その後は落ち着いたが、市場は大混乱した。
なぜ、SNBは上限を撤廃したのか。それは、22日のECBの政策決定会合で量的緩和の採用がほぼ確実視されているからだ。
上限を維持するには、マネタリーベースを増やすとともにユーロ債を購入する。実際、SNBのバランスシートはかなり大きくなっているが、そのうち外債占める割合は9割程度になっている。
ここにきて、ECBで量的緩和の動きが出てきた。それでも、上限を維持しようとすれば、SNBはさらに外債を購入しバランスシートを大きくせざるを得なかった。もし、上限の防衛に失敗すれば、その場合、中央銀行の資産が大きく毀損するという問題が出てくる。
ここで、SNBは外債購入を断念し、上限の撤廃を行ったのだろう。実際、ヨルダンSNB総裁は「国際情勢の変化から持続可能でないと判断した」と語った。
この判断は、中央銀行筋からは、やむを得ないという声もあるが、筆者は、二つの意味で間違ったと思っている。
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