自治体議会:都市部 「風」頼みで議員団自滅

毎日新聞 2015年01月19日 07時30分(最終更新 01月19日 09時31分)

4年間で半分以下になった減税日本名古屋市議団
4年間で半分以下になった減税日本名古屋市議団

 都市部で自治体議会が荒れたり、議員が不祥事を起こしたりするケースが目立つ。無党派層の有権者が政党の訴えに共鳴し、突風のような追い風で資質を欠く議員が多数誕生することが、背景の一つとみられる。地方で議員のなり手不足が深刻化する一方、都市部は「風の副作用」に苦しんでいる。【須藤孝、野口武則】

 ◇名古屋「減税日本」市議 新人28人→11人

 「議員報酬半減」を掲げる減税日本(代表・河村たかし名古屋市長)は、名古屋市議会(定数75)のリコールを受けた2011年3月の市議選で28人を当選させ、最大会派に躍り出た。あれから4年。いま市議団は11人しかいない。

 「委員会があるから出ろと言われて、何を持って行くかもわからない。『××住宅の問題で予算書の○ページを』と突然言われ、もう何もわからない」。28人のうちの一人は4年前を振り返る。

 当選した28人中27人が新人。しかも、唯一当選3回で市議団長を務める市議が、11年6月に政務調査費(政調費)の不適切処理問題で議員辞職する。繰り上がり当選した減税日本の市議も新人で、ついに28人全員が新人となった。

 議長にも新人の中村孝太郎氏(現在離党)が就いたが、12年3月、慣例の1年での議長交代を拒否して大混乱を起こす。同年7月には河合優市議(同)が当て逃げ事故を起こし辞職勧告決議を受ける。不祥事が続くと、会議で「自民党のスパイがいる」と言い出す市議が現れた。ある市議は「幼稚園の学級会以下だった」、別の市議は「全員が1年生で、誰も決断せず、何も決められなくなった」と振り返る。

 議会審議でも自民党などのベテラン議員に問い詰められ、立ち往生する。新人で議会運営委員長についた田山宏之氏は、「『勉強不足です。申し訳ありません』と言うしかなくなったことが何度もある」と打ち明ける。辞職勧告決議を巡る対応を他会派から批判された市議団長が、「今後は会派として議会運営に関わらない」という文書に署名するという珍事まで起きた。議長居座り問題を起こした中村氏は当選時を振り返り、「絶対落ちない選挙だった」と語る。「28人全員の資質に問題があった。とにかく候補が必要ということで集めてしまった」

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