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中国電力が鳴らした「電力大競争時代」の号砲

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2014/10/8 7:00
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 大手電力会社への対抗勢力として本命視されるのが、東京ガス、大阪ガス、東邦ガスなどの都市ガス大手である。東京ガスと大阪ガスが、NTTファシリティーズとともに出資するエネットは、新電力の最大手として、新電力市場の半分近いシェアを占めている。

 都市ガス会社の優位性は、火力発電の燃料になるLNG(液化天然ガス)の大量調達、所有するガスパイプラインや導管のネットワークを使っての需要家へのガス供給に実績があり、ガス需要家という多くの顧客を持っている点にある。東京ガスなどは電力とガスのセット販売の構想を描く。

 都市ガス会社の場合、燃料調達からエネルギー供給に至る既存事業がそのまま電力参入の基盤になる。東京ガスは電力事業を「天然ガスバリューチェン」の一環と捕らえており、現状で合計200万kWになる同社関連の天然ガス火力発電所を、2020年には最大500万kWへと増強する計画だ。

 ソフトバンクなどの携帯電話会社も、全面自由化で開放される家庭の一般消費者を顧客に抱えている強みが共通している。通信とのセット販売で顧客を開拓していく戦略だ。

■楽天も電力販売を検討

 ソフトバンクは、傘下のSBエナジーが全国に大規模な太陽光発電所を数多く展開している。新規参入組としては、魅力的な“商品”をいかに提供していくかも販売シェアを伸ばすうえで大きなカギを握る。ソフトバンクグループは太陽光発電などを中心に、原発や石炭火力に頼らないクリーンな電力という商品メニューを打ち出す構えだ。大手電力会社が扱うのは難しいジャンルだけに、うまくアピールできれば差異化商品として消費者の支持が集まりそうだ。

 住宅大手のミサワホームも太陽光発電を軸にした新電力事業を展開していく。都市ガス会社や通信会社と異なるのは自社の顧客に電力を併せて売るのではなく、顧客から電力を買うことだ。ミサワホームの太陽光発電システム搭載住宅を購入した顧客から、太陽光で発電した電力を固定価格買取制度の価格にプレミアムを上乗せした価格で買い取り、その電力をミサワホームグループの事業所で利用する。電力を買い取ることで自社商品の付加価値を高める。

 ネット通販大手の楽天は、楽天ポイントを活用した一般消費者への電力販売を検討する。電力も“楽天経済圏”を広げる商材になり得るという考えだ。

 このように、新規参入組は新たに開放される電力市場に様々なアイデアを持ち込み、市場獲得に挑もうとしている。消費者にとって選択肢が増えれば、電力システム改革の大きな成果になる。

 一方で、原発の再稼働が進むなど、大手電力会社の価格競争力や市場支配力が回復すれば、新規参入組が苦戦する局面も考えられる。

 従来型の「大手電力vs新電力」の構図に、大手電力会社同士の競争、多様な業種からの新規参入という要素が加わる中、電力市場や電力ビジネスはどう進展していくのか。各社は今、水面下で勝つための戦略を練っている。

(日経BPクリーンテック研究所 中西清隆)

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