「中国電、西日本全域で販売」――。2014年9月27日付け日本経済新聞朝刊(14版)の1面にこんな見出しが踊った。中国電力は2016年4月に予定される電力の全面自由化に合わせて、自社の余剰電力を送電線網を使って隣接する関西電力や九州電力、四国電力の管内の家庭に販売するという。これは、慎重な姿勢を崩してこなかった大手電力会社間の本格的な競争の始まり告げる号砲と言える。
すでに東京電力が中部電力や関西電力の管内で、逆に中部電力や関西電力が関東圏で電力販売を始めている。しかし、いずれも子会社の新電力が本社の域外で調達した電力を供給するものだった。
東京電力の子会社で新電力のテプコカスタマーサービス(東京・江東区)が中部や関西圏のヤマダ電機などに供給する電力は、一般の企業が保有する自家発電設備の余剰電力を買い集めたものだ。関西電力の新電力子会社である関電エネルギーソリューション(大阪市)は、伊藤忠商事子会社で新電力の伊藤忠エネクスが宮城県で計画する石炭火力発電所建設に参画し、全面自由化後の首都圏への電力販売を強化することを明らかにしている。
■不可侵だった「地域割り」
これに対して、今回の中国電力の動きは、本体の発電所で発電した電力を域外に直接供給するものだ。この構想が与えるインパクトは、子会社が域外で調達して域外の顧客に供給するのに比べて格段に大きい。後者が子会社を通しての部分的な“代理競争”だとすれば、前者は電力会社の再編にもつながりかねない本格的な競争を誘発する可能性さえある。
第一の違いは規模だ。東京電力の子会社が現在域外で販売しているのは出力で2万kW規模。これに対して、1年半後の全面自由化開始時点で、中国電力が他地域に供給可能な余剰電力の規模は域内の需要の1割に相当する100万kWにいきなり達するとされる。原発1基分の規模だ。これは東電が2013年12月に発表した「新・総合特別計画」の中で掲げる、子会社を通して10年後までに確保を目指す域外供給力の目標値に匹敵する。
実は、電力会社による域外への直接供給はこれまでの部分自由化の下でも制度上は認められていた。電力自由化の進展では、新電力がどれだけ伸長したかが大きなバロメーターとしてしばしば指摘されるが、部分自由化が始まった当初、政府がむしろ期待したのは大きな発電余力を持つ電力会社同士のエリアを超えた競争だった。
だが、2000年から段階的に始まった部分自由化で、今日まで電力会社本体が自社エリア以外の需要家に直接電力を供給したのは、九州電力が広島県のスーパーと契約した1事例しかない。それ以降、エリアを越えて互いの顧客を奪い合う地域間競争は“自粛”が電力会社間の暗黙のルールになっていた。中国電力の構想は、これまで結束の固かった電力会社同士が本気で競う時代の到来を告げるものとなりそうだ。
■ガス、通信、住宅…セット販売で付加価値
全面自由化後の電力ビジネスの環境はどう変わっていくのだろうか。日経BPクリーンテック研究所は、調査報告書「電力・エネルギービジネス総覧~シナリオ・市場・ビジネスモデル分析 重要プロジェクトのすべて』の中で、全面自由化後の電力市場を占った。
政府が進める電力システム改革のポイントは、(1)垂直一貫体制を見直して電力事業を「発電」「小売り」「送配電」に再編、(2)一般電気事業者の地域独占を改め、小売りと発電を全面自由化、(3)総括原価方式によるこれまでの電力会社のビジネスモデルを廃止し、送配電事業者を除く全事業者が対等に競争する環境の確保――の3点である。
2016年の小売り全面自由化後は、制度的にはこれまでの「一般電気事業者(大手電力会社)」や「特定規模電気事業者(新電力)」といった区分がなくなり、すべての発電事業者と小売り事業者は対等な条件下で競争することになる。
これまで、大手電力会社の市場支配力の前で、思うようにシェアを伸ばせなかった新電力などの新規参入組だが、全面自由化後はどのような展開が考えられるのだろうか。 調査報告書では全面自由化後の電力市場を分析している。
現在、新たに新電力に参入してきた企業を大きく業種別に分類すると、表のようになる。製紙など発電設備を保有する事業者や都市ガス、石油販売、通信事業者、電機、住宅などだ。
表 新電力への業種タイプ別の主な参入企業(資料:日経BPクリーンテック研究所)
電力自由化、太陽光発電、電力、ガス、ヤマダ電機
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