エスカレーター逆走:ボルト緩み土台ずれる…審議会報告書

毎日新聞 2015年01月19日 10時56分(最終更新 01月19日 11時25分)

エスカレーター事故のメカニズム
エスカレーター事故のメカニズム

 東京国際展示場(東京ビッグサイト、東京都江東区)で2008年、上りエスカレーターが急停止して逆走、10人が軽傷を負った事故で、国土交通省の審議会は19日、ボルトの緩みから機械部分を乗せた土台がずれ、安全装置が作動したことなどが原因とする報告書を公表した。

 事故は08年8月3日午前10時ごろ発生。同省によると、1〜4階を直接結ぶ「日本オーチス・エレベータ」(文京区)製のエスカレーターには当時約120人が乗っていたが、急停止後に15メートルほど逆走。約50人が転倒した。

 報告書によると、事故機はボルトの緩みなどで土台が4センチずれたことで、ステップを動かすチェーンと歯車がかみ合わなくなり安全装置が作動。ブレーキは掛かったが停止できず、逆走してしまったと結論付けた。ボルトの緩みは、元々の締め付け不足の可能性が高いと指摘した。

 設計上はステップ1段につき1・5人に当たる117人が乗っても正常に動く仕組み。同省は「当時の乗客数はやや上回っていたがそれが直接の事故原因とは考えていない」としている。ただ強度試験の結果、事故機はボルトの強度が他社製の半分未満だったうえ、ブレーキには117人が乗った状態で動くエスカレーターを停止させる力がなかったことも判明した。

 同社は事故5日前に点検していたが、異常を確認できなかった。審議会は国交省にボルトの点検方法の見直しや、ブレーキの能力に基準を設けることの検討を求める意見を付けた。【安高晋】

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