ワシントン=小林哲
2015年1月19日11時31分
欧州宇宙機関(ESA)は16日、2003年に火星への着陸を試みたまま行方不明になっていた英国の小型着陸機「ビーグル2」を火星表面で見つけた、と発表した。米航空宇宙局(NASA)の探査機が火星を回る軌道上から撮影した高解像度画像を分析し、機体が映っていることを確認できたという。
ビーグル2は、03年に打ち上げられたESA初の火星探査機「マーズ・エクスプレス」に搭載されていた。探査機が火星に接近した際に切り離され、6日後に着陸する予定だった。ところが、予定日を過ぎても成功を知らせる信号が発信されず、その後も行方が分からなくなっていた。
ESAなどの担当チームがNASAから提供された高解像度の写真を分析。着陸予定地から5キロほど離れた場所で、全長2メートルに満たない機体やパラシュートの残骸などを確認した。機体は想定通りに着地したとみられるが、太陽光パネルの一部が開かずに通信アンテナが露出できなくなり、交信不能になったらしいという。
ビーグル2は火星表面の土壌を採取するなどして、生命の痕跡につながる有機物などを調べるはずだった。ESAは来年以降、新たな火星探査機の打ち上げを計画中。ビーグル2が正常に着地できていたことから、「次に弾みがつく」(ESA幹部)としている。(ワシントン=小林哲)
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