ソウルの地下鉄3号線のある駅長(57)は最近、定年が1年延長された。ソウル・メトロ(地下鉄1-4号線を運営)の定年に関する規定が改められたからではない。この駅長は2012年、自らの生年月日を1956年11月1日から57年12月1日に変更してもよいという裁判所の許可を得て、それを根拠にソウル・メトロを相手取って訴訟を起こし、本来の定年よりも1年長く勤務できることになったのだ。
この駅長のように生年月日を変更する人が、1年間に平均500人に上っていることが分かった。過去5年間、裁判所に生年月日の訂正を申請した人を調査したところ、2011年に502件、12年に559件、13年は481件と、毎年500人ほどが生年月日を変更しようとしていることが判明した。実際、そのうち400人ほどが生年月日の訂正を認められた。
■定年の延長、年金の早期受給が主な目的
生年月日を変更しようとする理由は何なのか。ソウル家庭裁判所の関係者は「以前は単に、誤って登録された生年月日を訂正しようとする人が大部分だったが、最近は定年を延長したり、年金を早く受給したりするために変更する人がとても多い」と話した。
1980年に韓国水力原子力(韓水原)=韓国電力公社の子会社=に入社したLさん(58)も2013年、定年を迎える予定だったが、生年月日の訂正申請により、住民登録上の年齢よりも2歳年下とすることで、定年を延長することができた。
逆に年齢を高くしようとする人たちもいる。裁判所の関係者は「年齢を高くしようとする人たちの大部分は、審査の過程で『1年でも早く年金を受給したい』という理由を挙げる」と話した。定年の延長ではなく、年金の早期受給を目的に生年月日を変更するというわけだ。
Cさん(57)がそのケースだ。Cさんの親は、生年月日を1957年1月1日として出生届を出したが、実際には1日早い56年12月31日生まれだとして、裁判所に生年月日の訂正を申請した。Cさんは裁判所の審査で「国民年金を早く受給するため(生年月日の)訂正を申請した」と述べた。