【卓球】佳純、涙の３冠！「苦しい１週間」５４大会ぶり２人目

　◆卓球　全日本選手権最終日（１８日・東京体育館）

　石川佳純（２１）＝全農＝が、涙の３冠に輝いた。女子シングルス準決勝で前田美優（１８）＝希望が丘高＝に１―３から執念の逆転勝ちを収めると、決勝では森薗美咲（２２）＝日立化成＝に４―１で快勝。２年連続３度目の優勝を飾り、混合ダブルス、女子ダブルスと合わせ、女子では１９６０年度の山泉和子以来５４大会ぶり、２人目となる３冠を達成した。

　涙の３冠女王が誕生した。決勝の第５ゲームで森薗のレシーブが外れた瞬間、石川は両手で顔を覆った。「本当に苦しい１週間でした。プレッシャーもあって、毎日どうなるんだろうと」。１３日の混合ダブルス初戦から６日で１７戦全勝。シングルス連覇で今大会３つ目のタイトルを手にした。

　準決勝がヤマ場となった。前田のフォアハンドに苦しみ、ゲームカウント１―３とリードされた。「今までは焦っていたけど、今日は『ここからだ』と。最後の１本まで絶対に勝つと思ってやりました」。速攻型の相手に付き合わず、長短のサーブを織り交ぜて２ゲームを奪い返すと、最終第７ゲームも押し切った。

　昨年は１２月にワールドツアー・グランドファイナルを初制覇。「他にも満足のいく成績を残せていい年になった。その分、今年はプレッシャーがありました」。元日、自身を鼓舞するように誓いを立てた。久々に家族４人が都内で集まった席上、昨年は混合ダブルス準Ｖで逃した全日本３冠を目標に掲げた。観戦した父・公久さん（５１）は「狙っていた分、うれしいと思いますよ」と５４大会ぶりの快挙をたたえた。

　シングルスは決勝で対戦した同級生の森薗以外５人とも年下だった。陳莉莉コーチは「相手がバンバン打ってきたけど、すべて耐えた。受け身になったときや戦術の切り替えとか、トータルバランスが昨年からよくなった」と明かす。福原愛が腰痛で欠場した今大会。２１歳にして追われる立場のつらさを味わい、それを受け止めて勝ちきった。

　４位につける世界ランクの上位３人は中国勢。１９日に発表される４月の世界選手権個人戦（中国・蘇州）代表入りは決定済みで、これまでは０９年横浜大会の８強が最高だが「このプレッシャーに勝てたのは大きな自信になる。世界選手権ではメダルを獲得したい」と宣言した。ひと回り成長した自信を胸に中国勢を倒し、今度こそ世界の表彰台に立つ。（武田　泰淳）

　◆石川　佳純（いしかわ・かすみ）１９９３年２月２３日、山口市生まれ。２１歳。全農所属。平川小１年から卓球を始める。２０１０、１３、１４年度の全日本選手権女子シングルス優勝。１２年ロンドン五輪でシングルス４位、団体銀メダル。世界選手権は０７年にダブルス代表で初出場。０８、１０年団体戦で銅、１４年団体戦で銀。０９年横浜大会女子シングルス８強。１４年ワールドツアー・グランドファイナル優勝。１５８センチ、５１キロ。左利き。家族は両親とエリートアカデミー所属の妹・梨良（りら）。