【駅伝】山の神野、平地も強い!愛知タスキ投げ1区で失格も12人抜き
◆第20回全国都道府県対抗男子駅伝(18日・広島市平和記念公園前発着=7区間、48キロ)
箱根駅伝(2、3日)で青学大を初優勝に導いた「3代目・山の神」神野大地(3年)が、愛知の最終7区(13キロ)で学生トップの区間3位(37分36秒)と健闘した。愛知は1区の山藤篤司(愛知高3年)が中継所直前で力尽き、2区選手にタスキを投げ渡したため失格。チーム成績が残らない中で神野はゴール直後に山藤を激励し、さらにファンに囲まれる中でナマ着替えという“神対応”を見せた。埼玉が2時間19分14秒で初優勝した。(午後0時30分スタート時=晴れ、気温9・5度、湿度42%、東南東の風0・8メートル)
箱根に続き、広島でも神野が“神”となった。
優勝候補の一角に挙げられていた愛知は、1区の山藤が低体温症と脱水症状を併発して中継所直前で倒れた。力を振り絞って四つんばいでタスキを届けようとしたが、無意識で2区選手にタスキを投げて渡してしまい、まさかの失格。個人記録は認められるもののチーム成績は無効という難しい状況の中、愛知の選手たちは走り続けた。競技規則上は無効でも、魂のこもったタスキを受けた「3代目・山の神」は平たんな広島市街地の13キロを激走。日本トップクラスのスピードランナーがそろった最終7区で区間3位。「山の神対決」と期待された柏原竜二(25)=富士通、千葉=は3区23位と不振に終わったが、神野は存在感を発揮した。
あくまで参考記録ながら、27番目でタスキを受け取ると12人抜きの15番目でゴール。「愛知代表として責任は果たせた。37分台の目標タイムもクリアできた(37分36秒)。自信になりました」。津島市生まれで中京大中京高出身の21歳は、学生25人の中でトップの成績に納得の表情で話した。
レース後は“神対応”を見せた。ゴール直後には打ちひしがれる山藤を「大丈夫か? これで陸上人生が終わるわけではない」と激励。祭りのような雰囲気で行われる今大会は、選手待機所の広島国際会議場に一般の駅伝ファンも入ってくる。神野は約30人のファンに囲まれる中で生着替え。体重43キロの絞りに絞られた上半身をさらすと、一斉にカメラや携帯電話で撮影された。チーム関係者が「早く上着を着た方がいい」と慌てる中、本人はトレードマークの笑顔を見せたままだった。
箱根駅伝5区で柏原が東洋大時代の12年に記録した1時間16分39秒より24秒も早く天下の険を制して一躍、全国区になった。「多くの人が僕のことを知ってくれてうれしい。プレッシャーは感じません」。箱根から世界を目指す神野にとって、ずぶとい神経は大きな武器となるはずだ。(竹内 達朗)
◆棄権、失格 高校生区間の1区(7キロ)で福井の揚原佑(鯖江高2年)が途中棄権。愛知の山藤篤司(愛知高3年)が中継所直前で倒れ、2区選手にタスキを投げ渡したため失格。いずれも脱水症状が原因。20回目の大会で棄権、失格はいずれも初めて。2区以降、チーム成績は認められないが、区間順位は認められる。
◆駅伝競走のタスキの受け渡し 日本陸上競技連盟駅伝競走規準第9条「たすき」の第3項に「たすきは必ず前走者と次走者の間で手渡さなければならない」と明記されている。愛知の1区走者は投げ渡したため失格。