企画・解説
「サイバー攻撃」の脅威−「トップガン」日本10人以下、“情報守る人材”育成急務に
富士通が開催したハッキングコンテスト
サイバー攻撃の脅威が社会全体の安心・安全を揺るがしている。年末年始に起きた米ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントを巡る騒動は、企業への攻撃が国家安全保障上の重大事となり得ることを知らしめた。こうした危機にわが国はどう向き合うのか。サイバー攻撃と戦う情報セキュリティー人材の強化・育成が急がれる。(編集委員・斎藤実)
サイバー攻撃は年々巧妙化するとともに「犯罪集団とも結びつき、国際的な分業体制ができている」とセキュリティーの専門家は語る。「最近は日本企業を狙った攻撃が増えている」(中川泰志NECサイバーセキュリティ戦略本部シニアマネージャー)という。内閣官房情報セキュリティー補佐官を務める佐々木良一東京電機大学教授は「巧妙化するサイバー攻撃に対抗できる人材を質的にも量的にも増やしたい。一般の実務者のスキル向上とともに『トップガン』と呼ばれる先鋭的な人材を育てなければならない」と指摘する。
IPAが開催している「セキュリティ・キャンプ」
セキュリティー関係者が注目するのは20年東京オリンピック・パラリンピック。「英ロンドンオリンピックはサイバー攻撃対策でトップガン級の精鋭を60人揃えたというが、日本は現状で10人以下。60人程度と想定して逆算すると、間に合わない。今のうちから母数を増やす必要がある」と中川シニアマネージャーは語る。
富士通は社内実践で培ったセキュリティー対策のノウハウや教育・訓練を提供する専門組織「セキュリティ・イニシアチブ・センター」を14年に立ち上げた。12月には第1回社内ハッキング大会「富士通サイバーセキュリティワークショップ2014」を東京都内で開いた。
大会の目的はセキュリティー専門のSE以外に、隠れた人材を発掘すること。富士通の太田太州セキュリティ・イニシアチブ・センター所長は「上司は知らないが、会社を休んで社外のハッキング大会で活躍している人たちもいる。そうした人材をグループ各社を含め可視化し、コミュニティーに参加させたい」と狙いを語る。
より深く、より広い情報を目的、用途別にお届け
おすすめコンテンツ一覧
業界展望台
循環型社会の形成に向けて―廃棄物処理技術
職場なでしこ
飛び立て!若手社員/ポーラ化成工業・後藤悠さん
彩々新製品
阿部蒲鉾店、かまぼこ化粧箱に「東北コットン」
元気印中小企業
日本市場向け小物類を新興国で生産 [茅]
工業用地分譲情報
神奈川県、ベトナム・ハノイに集合貸し工場開設
スマートグリッド
三菱電機など、秋田・鹿角市で地産地消型スマコミ構築支援
地域応援隊
オンリーワン技術でひた走るエクセレント企業―埼玉西部地域
産業広告
中小企業から大手企業まで、多彩な産業広告をカテゴリー別に毎日紹介
いまどき職場百景
「消費増税の影響、すでにありますか?」