沖縄から見ると、いささか新鮮味に欠ける結果となった。
民主党の新代表に岡田克也氏が選出された。1強といわれる安倍政権に対抗する野党第1党として、同党の理念である生活者本位の政策を確立することができるのか。代表としての政治手腕が問われる。
米軍普天間飛行場移設問題について言えば、岡田氏には「変節」の二文字がつきまとう。
岡田氏が民主党代表を務めていた2005年の衆院選マニフェストで、普天間移設に関して「在沖縄海兵隊基地の県外への機能分散をまず模索し、国外移転を目指す」と明記した。沖縄政策をまとめた08年の「沖縄ビジョン」にも同様の内容を盛り込んでいた。
しかし、鳩山由紀夫氏が「最低でも県外」と明言して政権交代を果たすと、岡田氏は変節した。外相在任中の10年5月、日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、名護市辺野古移設を再確認する共同声明に合意した。
今回の代表選の討論会でも「辺野古以外に答えはないとの考えは変わっていない」と明言している。その上で「(振興策など)できることは何でもやる。粘り強く説得するしかない」と述べた。辺野古移設を強行しようとしている安倍政権と同じだ。県外移設を求める沖縄の民意とは相いれない。
一方、岡田氏は憲法問題について安倍首相が現行憲法を軽視する発言をしたと指摘し「安倍政権下での改正には慎重でなければいけない。とんでもない方向に行きかねない」と訴えている。
1955年から約40年間の日本の政治は「55年体制」と呼ばれた。3分の2弱の議席を有する自民党に対し、野党が憲法改正の発議を阻止するのに必要な3分の1議席を獲得していた。現在、衆院で民主党は自民党の4分の1にとどまる。改憲を悲願とする安倍政権にどのように対抗するのか。民主党の憲法観を国民に示す必要がある。
安全保障政策についてはどうか。岡田氏は、集団的自衛権の行使容認の閣議決定の撤回を主張した。安保法制について「少しでも政府案の軌道修正を図っていく」と述べるにとどまっている。中途半端な姿勢では、安倍政権に太刀打ちできない。
岡田新代表が返るべき「原点」とは、普天間飛行場の県外移設を掲げた05年の衆院選マニフェストではないか。
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