相対的貧困率、日本は第5位から第2位へ
対日経済審査報告書が指摘した二つ目の点は「日本の相対的貧困率は今やOECD諸国で最も高い部類に属する」ということだ。
相対的貧困率とは国民を所得順に並べて、真ん中の順位(中位数)の人の半分以下しか所得がない人(貧困層)の比率を意味する。つまり、中位の人の年収が500万円だとしたら、250万円以下の所得層がどれだけいるかということだ。
OECD東京センターが発表した対日経済審査報告書の日本語概要では相対的貧困率が「最も高い部類に属する」としか書いていないが、7月20日のOECD発表記者会見では「OECD加盟国中、第2位になった」と表明した。
昨年、日本の相対的貧困率はメキシコ、米国、トルコ、アイルランドに次ぐ第5位だったが、ついに“堂々たる世界2位”の格差社会になったというわけだ。
かつては1億総中流社会といわれた日本が2位になったことについて、OECDは危険な状況であると強く警鐘を鳴らしている。
ゼロ金利解除と相対的貧困率は一見、関係がないように見えるが、実は両方とも格差拡大の大きな原因となっている。
個人レベルで考えると、金利が上がると、預金金利と貸出金利が上がる。勝ち組は借金を持たず、多額の預金などおカネを持っているから、利子が増えて、さらに勝ち組になる。
一方、庶民の多くは住宅ローンを抱えていて、それほど預金を持っているわけではない。国土交通省の調べによると、平成17年度上半期末(昨年9月末)で、10年超の金利固定による住宅ローンの割合は5%程度にしかすぎない。
つまり、95%の人が変動金利や短期型のローンであり、ローン金利の上昇で家計が圧迫されることになる。特に変動金利型の住宅ローンの割合は33%であり、3分の1の世帯はいきなり影響を受ける。
変動金利ローンの金利は短期プライムレート+1%だから、短期プライムレートが0.25%引き上げられると、住宅ローン金利も0.25%上がる。ローン残高が3000万円ならば、年間7万5000円の負担増となる。
毎月6000円強の負担は少ないお小遣いでやり繰りしているお父さんたちにとって手痛い出費だ。
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