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【首都圏】

逆境バネに一人芝居 関東大会の舞台に 千葉県立成田国際高 中村 恵さん(1年)

プレ公演、関東大会に向け練習を重ねる中村さん(手前)=成田国際高校で

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 演劇部員はたった一人、しかも初心者−。千葉県立成田国際高校1年の中村恵さん(15)は昨年、そんな逆境を乗り越え、県高校演劇研究中央発表会で最優秀賞に輝いた。東日本大震災と引きこもりがテーマの創作一人芝居。男女8人を演じ分けた中村さんは24日から千葉県内で始まる関東大会に向け、練習を続ける。 (渡辺陽太郎)

 一人芝居「繭(まゆ)の中」は顧問の伊三野(いさの)友章教諭(52)との共作。被災地を取材する記者が、引きこもり続けた部屋ごと津波で流された少年を知る。なぜ逃げなかったのか。記者は関係者に取材を重ね、引きこもりの原因や部屋にとどまった理由に迫っていく。

 いじめっ子は憎たらしく、少年の家族は心細く。感情豊かに演じ分ける中村さんは高評価を得た。伊三野教諭も「練習とは別人。本番に強い」と驚いた。音響や演技をしない少年役で協力した他の部の生徒も「ゾクッとした」と振り返る。

 昨年九月、自らも一日だけ引きこもりをした経験が生きた。夏休みの終わりに部員二人が退部。一人で頑張っていたが「不安が募り、怖かった」と部屋から出られず学校を休んだ。少年の気持ちに近づき、好演のきっかけをつかんだ。

 地区、県大会を突破するほどの成長に伊三野教諭は「演技は自然体。才能もある。だからこそ物足りなさも感じる」と話す。多くの命が失われた震災がテーマ。必要なのは演技力でなく、演者の「伝えたい心」だと考えているからだ。中村さんに「被災者のことを考え続けて」と要求していた。

 先月も打ち合わせで「いい芝居がしたい」と抱負を話す中村さんに、伊三野教諭は「これが伝えたい、となぜ言えない」と怒った。「明日の練習までに答えを見つけなさい」

 中村さんは「芝居を楽しむことを優先していた」と反省。その夜、被災者や犠牲者の生活を思い浮かべた。震災が風化しつつある中「心のない芝居は失礼だ。必死に生きた被災者を忘れてはいけない」。伝えるべきことに気付いた。

 翌日はそのことを意識し演技。教諭は成長を認め握手を求めた。その後も「伝わらなければ意味が無い」と練習を続ける中村さん。十八日に同県成田市公津の杜四の「もりんぴあこうづ」で開く関東プレ公演で力を試す。午後二時半開演(同二時開場)。入場無料。問い合わせは伊三野教諭=電0476(27)2610=へ。

 

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