福島原発集団訴訟:初の本人尋問 避難生活の苦しさ訴え
毎日新聞 2015年01月16日 21時08分
◇千葉地裁 7人が出廷
東京電力福島第1原発事故の避難者らが国と東電に慰謝料などの損害賠償を求めた集団訴訟で16日、原告の本人尋問が千葉地裁(広谷章雄裁判長)で行われた。弁護団によると、各地の集団訴訟で初の本人尋問。7人が出廷し、避難生活の苦しさを訴えた。
原告の60代男性は、福島県内で郵便局員として40年以上働き、4世代9人の家族で暮らしていた。千葉県に避難後、ハローワークに30回近く通ったが、仕事は見つからない。「気力もなく、部屋にいるだけ。(集落で)つきあっていた人たちにも会えず、悔しい」と話した。
再び福島の別の町で暮らそうと考えることもあるが、除染作業が進んでいない状況では「娘や孫に『帰ろう』とは言えない」と述べた。避難生活の間に両親を亡くしたとも明かし、「知らない土地(千葉県)で亡くなってかわいそうです」。最後に裁判長に「(被災地の)現状と現場を見てください」と訴えた。
福島県浪江町から避難した会社員の男性(41)は帰郷を断念し、ローンで購入した千葉県習志野市のマンションで暮らす。中学生になる子供が2人おり、放射能に汚染された我が家はとても子供を連れて帰れる場所ではなかった。法廷で「苦渋の決断だった」と振り返り、「古里を返してほしい」と話した。
千葉地裁の原告は18世帯47人。避難による精神的苦痛を1人当たり月額50万円、故郷を失った苦痛を2000万円と換算している。請求額は計約21億円。
【松谷譲二】