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かるた名人・クイーン 最高位獲得へ勝負の年に

(2015年1月18日午前7時25分)

 「王国」と称される本県かるた界。ただ、10日に大津市の近江神宮で行われた名人位戦・クイーン位戦に、県かるた協会(福井渚会)の選手が出場しなかったのはやはり寂しい。競技かるたで最高位のこの戦いに県勢が参加できなかったのは、これで3年連続となる。主要タイトル戦の中で、これまで県勢が栄冠を手にした経験があるのはクイーン位戦、全日本選手権、全国選抜大会。61回の歴史がある名人位戦でまだ勝利を収めていない。ことしこそは名人・クイーン獲得に向けて、勝負を掛ける年にしたい。

 ■層の厚さ全国一■

 昨年の本県かるた界は、うれしいニュースも残念な結果も、ともに味わった。成果では、3月の全国選抜で鈴木大将七段(勝山市)が初制覇したことが挙げられる。あわら市のイベントに組み込まれる形で例年より盛大に行われた全国福井大会のA級は、川崎文義七段(越前市)が準決勝で岸田諭名人(京都市)を破り優勝した。川崎七段は昨年、福井大会を含め五つの全国大会を制した。団体戦でも県勢は、2月の全国各会対抗で連覇、11月の国民文化祭で6連覇。第一線で活躍する選手の層の厚さは揺るぎなく全国一だ。

 一方、名人位戦予選は三好輝明八段(越前市)が西日本代表となったものの、東日本代表との挑戦者決定戦で敗れた。クイーン位戦の方は、西日本予選で全員が敗退。4月の全日本選手権は3位、12月の女流選手権は4位が最高だった。

 ■届かないタイトル■

 過去に本県でただ一人、クイーンに上り詰めた山崎みゆき県かるた協会長は「現在、かるたが日本一強いのは三好八段」と断言する。三好八段をはじめ全国で華々しく活躍している県勢が、切望するタイトルを奪えないのはなぜか。山崎会長は、「強いだけでタイトルを取れるかといえば、そうとは限らないのがかるた」だという。

 山崎会長が強調するのは、メンタル面の大切さ。「練習量、生活態度、あらゆる面で『絶対に名人になる』『クイーンになる』との意思で取り組んだ人だけが、そうなっている。『なれるだろう』『なれるかもしれない』では届かない」。そうした積み上げが、福井渚会の特徴である戦術「攻めがるた」を極めることにもなると指摘する。

 ただ、地力がある県勢は「そこまで徹底しなくてもある程度勝ててしまう」。これが名人を取れない一つの要因とみる。

 ■悔しさを糧に■

 名人位戦・クイーン位戦予選をはじめ、県勢は昨年、いくつか悔しい敗戦を経験した。「勝てる相手に勝ち急いで、大事な試合を落としたこともある。本人も悔しいだろうし、ほかの選手も自分ならその場面でどうしたか、考えているはず」(山崎会長)。悔しい負けを経て、選手たちにはメンタル強化への自覚が生まれてきたという。

 名人・クイーンを握るために山崎会長は「ここ3年が勝負」と話す。かるたブームで全国的に競技者が増え、強い選手も各地で育っている中、「3年で取れなければ、福井は埋没しかねない」との危機感がある。

 10日に3連覇を果たした岸田名人は県勢と数多く対戦していて、手の内は分かっている。坪田翼・新クイーン(東京)も本県にゆかりがあり、手合わせ経験のある選手は多く、ともに県勢にとっては目標として格好の存在。来年1月こそは、名人位戦・クイーン位戦で活躍する県勢の姿を見たい。(田中 禎浩)

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