お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

ディズニー新作「ベイマックス」制作の舞台裏--新技術で挑んだ「アナ雪」超える光の表現 - (page 3)

2014/12/19 07:30
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 この映画の制作には途方もない処理能力が必要だった。ロサンゼルスにあるDisneyの3つのレンダリングファームとサンフランシスコにある1つのレンダリングファームが接続され、計5万5000個のコアを搭載する約4600台のコンピュータで構成されるスーパーコンピュータが誕生した。参考までに、「アナと雪の女王」で使われたコアは2万6000個だ。自動管理システムの「Coda」が4つのレンダリングファームで処理される情報を制御した。

 Hendrickson氏は次のように説明する。「われわれは予測を立てるとき、いくつかのシーンをレンダリングする。つまり、いくつかの仮想世界を写真に変えるのだが、われわれは、それをレンダリングと呼んでいる。その予測を見ると、こうした計算のためには、この極めて大規模なマシンが必要なことが分かった。時間と複雑さを考慮すると、5万5000コアのマシンが必要だった」

 「それほどのマシンを稼働させるのに必要なエネルギーと冷却機能を単独でまかなえるDisneyの施設はなかった。マシンを4つの施設に分散し、それらすべてを再び統合して1つの大きなマシンを完成させた。それらすべてを動かすには、相当なエンジニアリング作業が必要だった」(Hendrickson氏)

Hyperionは、架空の街サンフランソウキョウのにぎやかさを描くことを可能にした。
Hyperionは、架空の街サンフランソウキョウのにぎやかさを描くことを可能にした。
提供:Disney

 スーパーコンピュータで画像を処理すれば、アーティストは翌朝に自分の作品を確認できるようになる。「アーティストは処理が必要な自分の作品を提出し、翌朝出勤したときには、処理済みの画像をすべて確認することができる。アーティストの提出物というのは、処理すべき作品をすべて提出するということだ。多くの場合、それにはすべてのシーンのすべてのショットが含まれる。われわれは一晩につき約40万件のジョブを処理した。来る日も来る日も、処理は1週間無休で続く。この大規模な処理作業は4~5カ月ですべて完了した」(Hendrickson氏)

現実世界のテクノロジ

(編集部注:このセクションでは、映画に登場するテクノロジの一部が取り上げられています)

 しかし、この映画に登場するテクノロジは現実世界で再現可能なのだろうか。例えば、超小型ロボットが群れをなすテクノロジは現代の世界に存在するのか、それともスクリーンの中だけのテクノロジなのか。それは、「ベイマックス」を観た人からよく尋ねられる質問だとHendrickson氏は言う。作品の中では、最大2000万体の超小型ロボットが連携して群れをなし、サーキットのような波となって互いの上を飛行し、さまざまな構造物や形状を作り出す。

 「超小型ロボットが群れをなすテクノロジ。超小型ロボットが(スクリーン上で)やっていることは現時点では実現不可能だ。しかし一方で、現時点では不可能だが、その後現実になるテクノロジが映画にはたくさん登場する。われわれは何らかのインスピレーションを与えていると思いたい。とはいえ、超小型ロボットとスウォームボットの開発は実際に進められている。ロボットが自己集合して列をなすテクノロジは、間違いなくわれわれが注目し、動向に注意してきた技術だ。ロボットを魅力的なものにする方法について、われわれが新しい基準を設定できたとしたらうれしく思う。外骨格が機能している(のを見る)だけでは、元気を与えることはできない。ベイマックスは、ビニールの皮膚を持つロボットというアイデアを進歩させた。これは研究が進行中のアイデアだ」(Hendrickson氏)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

注目コンテンツ

本日の主要記事

注目のキーワード

個人情報保護方針
利用規約
訂正
広告について
運営会社