(英エコノミスト誌 2015年1月17日号)
原油と天然ガス価格の下落は、間違ったエネルギー政策を正す一世代に一度の好機だ。
ガソリン補助金をはじめとした間違ったエネルギー政策を正す絶好のチャンスが訪れている〔AFPBB News〕
多くの場合、経済政策は些末な部分の修正に終わりやすい。政治家は、税や支出に関するささやかな変更に関して激しい議論を繰り広げる。しかし、ごくまれに、重大な政策転換が可能になるタイミングがある。
1978年に鄧小平が提唱した市場開放から1990年にポーランドが採用した「ショック療法」まで、決断力を備えた政治家が好機をつかんで改革を断行し、国を一変させることがあった。
このような1世代に1度あるかないかというチャンスが今、世界に訪れている。
エネルギー価格の急落と技術の進展
原油価格の下落が、クリーンエネルギーや省エネ技術の進展と相まって、世界中の政治家にエネルギー政策を正す好機を与えている。現在、市場を歪める巨額の補助金が、特に低質燃料に注ぎ込まれているが、これを廃止し、一方で炭素の利用に課税する方向に税制を移行することができる。
より安価で環境に優しいエネルギーを安定的に供給可能な未来が、手の届くところに来ているのかもしれない。
このような楽観的な見方ができる一番の理由は、エネルギーコストの急落だ。過去6カ月で原油価格が半値に下落しただけでなく、天然ガスも、過去10年で(リーマン・ブラザーズが破綻し、世界経済が内部崩壊に向かうかに見られていた数カ月の混乱期を除く)最も安い水準にある。
現在の低価格がこのまま定着することを示唆する兆候も増えている。石油産業で高まっている巨大合併のうわさの数々は、石油業者が来たるべき淘汰に備えていることを示す明確な証拠だ。
原油価格の急落ほどの注目は集めていないものの、本誌(英エコノミスト)今週号の特集記事でも解説しているように、よりクリーンな形のエネルギーの価格も下落している。
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