経済産業省は21日の総合資源エネルギー調査会原子力小委員会で、原発で発電した電気に一定の価格を決めて電力会社の収入を保証する制度を示した。電力自由化で電気料金の引き下げ競争がすすむと、原発への投資が回収できなくなる恐れがあるためだ。新たな国民負担につながる可能性もあるため、具体化の議論は難航しそうだ。
経産省が提示したのは、再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度」に似た仕組みだ。まず政府が電力会社が原発で発電した電気に基準価格を決めておく。電力会社が新電力など小売事業者に市場で電気を売る値段が基準価格を下回った場合、差額を電気料金へ上乗せすることを認める。
基準価格には、使用済みの核燃料の処理や廃炉など原発を動かした後に発生するコストも含める。英国が導入を決めている。
電力会社は2016年以降の電力自由化で、発電部門と送配電部門の分離がすすむと、原発の維持が難しいと訴えている。売電価格を固定することで電力会社の収入は保証できる。
経産省の検討の背景には、原発の電気を安いといえなくなってきた事情もある。11年の政府の試算では、新設した原発による電気の発電コストは1キロワット時あたり8.9円以上で、石炭やLNG火力の10円台に比べて一定の優位性がある。
政府の試算後の昨年7月から原発の安全基準は大幅に厳しくなり、原発の安全投資にかかるコストは上がった。電力9社の安全投資は計2.2兆円超になり、さらに膨らみそう。試算は廃炉費用も含むが、実際の廃炉コストはさらにかさむ。
建設ずみの原発を再稼働するコストは安いが、新たに原発をつくる場合は石炭火力などとあまり変わらない可能性がある。電力会社の収入を保証しないと、費用を回収できず、原発を新増設できない懸念がある。
会議では伴英幸・NPO法人原子力資料情報室共同代表が「原発を建てるための支援策は必要ない」と述べるなど、懐疑的な意見も上がった。支援策を具体化するには、原発を将来どれくらい活用するかを決める必要がありそうだ。
原発、電力会社
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