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2015.1.18 SUN
TEXT BY KYLE VANHEMERT
WIRED NEWS (US)
誰しも、映画『スウィート・ロード』(任天堂によるスポンサードで1989年に製作されたロードムーヴィー。原題『The Wizard』)のパワーグローヴを着けたクールな主人公になりたいと憧れたはずだ。そして、ディロン・マーキーはその夢を本業に利用してしまった。
マーキー氏は、テレビネットワーク「アダルトスイム」の、最高に奇妙なストップモーションアニメ『ロボットチキン』のアニメーターだ。彼が利用するツールにはひとつ、非常にユニークなアイテムが含まれる。アニメーションソフトを無線でコントロールできる改造パワーグローヴだ。
この特別製コンピュータ周辺機器が生まれたきっかけは、次のようなものだった。
マーキー氏は数年来、(ストップモーションアニメを撮影する)舞台上を歩き回ったり、コンピュータと舞台の間を行ったり来たりしていた。「USB接続のテンキーパッドを持って舞台上を歩き回りながら『これを腕の周りに装着したらどうだろう』と考えたんだ」。そう、子ども時代にパワーグローヴに夢中になっていた彼にとって、このソリューションは当然のものだった。
マーキー氏は、友人の助けを借りて、よく使うアニメーションソフトを無線でコントロールできるグローヴを急いでつくり上げた。このデヴァイスにより、装置のある場所に戻らずともフレームをナヴィゲートしたり、ショットを保存したりできる。グローヴには格納式ピンセットと磁石も装備されており、キャラクターの顔の細かな表情を調整できるようになっている。
このデヴァイスを実現させた動機はノスタルジーにすぎないと思うかも知れないし、それも、部分的には正解だ。だがマーキー氏の仕事からすると、このパワーグローヴは確かに非常に気の利いたインターフェイスなのだ。
グローヴを使って仕事をする彼を見ていると、それが20年前の奇妙なコントローラーだということをつい忘れてしまう。そう、彼にとってパワーグローヴはウェアラブルデヴァイスなのだ。
パワーグローヴがどんな運命を辿ったか思いを馳せずにいられない。1989年という短い間、それは最高にクールだった。しかし今日では、最高にアホらしく思われる。
現在、われわれの目の前にはさまざまなウェアラブルデヴァイスがある。近い未来、このパワーグローヴと同じ運命を辿ることになるのは、どのアイテムだろうか。Apple Watchが間抜けに見えるようになるのはいつのことだろう。歩数を数えることに夢中になっている現在を振り返って笑えるようになるのはいつのことだろう。はたまた、未来の流行通が2014年製のヴィンテージ・Google Glassを皮肉っぽく着用するようになるのはいつのことだろうか。
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